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はじめに

前回はこのような内容でした。


今回からは、近世ヨーロッパのルネサンスについてです。なぜルネサンスは始まって、どんな人たちが担っていたんでしょうか?
それでは一緒にみていきましょう!
MQ:なぜルネサンスが始まり、どのような人たちが担っていたのか?
ルネサンスの始まり
ルネサンスとは「再生」という意味があり、14世紀~16世紀にイタリアから西ヨーロッパに広がっていった文化・芸術活動をことを指します。
ルネサンスは特にギリシアやローマの古典文化を蘇らせようという運動で、ヒューマニズム(人文主義)という人間中心主義がテーマになっていました。

ギリシア文化は哲学や自然科学が発達して、「世の中は(または人)は、どのようにしてできているのか。」を探究する学問でしたよね。

ルネサンスはフランス語で「再生」という意味で、「文芸復興」と呼ばれたりもしますね。
ちなみにヒューマニズムとは簡単に言うと、「神だけじゃなくて人間にも価値があって生きるための指針が必要だ!」ということを探究することです。
この時期はルネサンスによって、ヨーロッパで文芸や芸術、科学などの研究が盛んになって、大きく発展した時代でした。

SQ:ルネサンスが起こった要因とは?

ではなぜルネサンスが起こったんでしょうか?
それには以下のような要因があったんです。
①黒死病による人間観の変化
②ローマ=カトリック教会の権威の低下
③イスラーム圏からの諸学問の流入
④東方貿易と都市の繁栄による文化支援

①黒死病による人間観の変化
中世末期(14世紀半ば)のヨーロッパではある感染症が猛威を振るっていましたよね。
そう、黒死病(ペスト)です。
この疫病によって、ヨーロッパ人口の約3分の1が犠牲になるほどのパンデミックが起きました。
しかし、この黒死病の流行による大勢の犠牲によって、「今を生きる人間の価値」を見直すようになっていき、「神」だけではなく、「人間個人」にも価値を見出すようになっていったんです。

「生きているってすごいことなのね。人間は尊いからもっと自分たちのことを知らないと。」という感じだったんでしょうか。
ちなみに「神」とはキリスト教のイエス=キリストのことです。
このような考え方が、ヒューマニズム(人文主義)の土台になっていったと言えますね。

②ローマ=カトリック教会の権威の低下
そして同時期に起こったのが、ローマ=カトリック教会の権威が低下したことでした。
ローマ=カトリック教会は独立した教会組織として、教皇は西ヨーロッパ各国の国王が屈するほどの権力を持っていました。

教皇は教会司教の聖職叙任権を持っていましたからね。国民の生活に根座した教会の司教の人事を握っているということは、国民にそれだけ影響力があるということですからね。
しかし、十字軍の失敗や教皇と王権の対立、教会大分裂(大シスマ)などによって教会の絶対的な権力が揺らぎ始めます。
これによって、人々は教会による“神が絶対”という「神」中心の価値観から、“人のすばらしさ”を知ろうとする「人間」中心の価値観にシフトしていくことになっていったんです。

しかも、教会では人は生まれながらに罪を背負って、不浄で無力な生き物という教えがありました。
しかし、その教会の権威が下がったことで、「神だけじゃなくて人間にもすごい力があるんだ!」という考え方がでてきたんです。

③イスラーム圏からの諸学問の流入
ローマ=カトリック教会による十字軍は失敗に終わってしまいましたが、良い面もありました。
それがイスラーム圏からの入ってきた学問です。
十字軍や交易を通じて、イスラーム世界の高度な学問(医学、数学、天文学、哲学など)がラテン語に翻訳されてヨーロッパに流れ込んできたんです。
イスラーム圏では、ギリシア・ローマの古典文化をアラビア語やペルシア語に翻訳して、学問や文化に取り込んでいたので、イスラーム文化の輸入はギリシア・ローマの古典文化の逆輸入にもなったんです。

加えて、ビザンツ帝国がオスマン帝国によって滅亡した後に、学者たちがヨーロッパに亡命したことで、ビザンツ文化(ギリシア語)が持ち込まれたことも影響しました。

④東方貿易と都市の繁栄による文化支援
そして中世以降、西ヨーロッパでは商業の発達によって自治都市が発達していきました。
特にイタリアの諸都市では、十字軍や東方貿易によって巨万の富を築いて、メディチ家のような大富豪も現れました。
その大富豪や大商人たちに加えて、フランス王や教皇らが、その莫大な富を使って、芸術家たちを保護・支援していったんです。

大商人たちは宗教保護や芸術保護にお金を使うことで、神に対する金儲けの罪滅ぼしをしようとしていたんです。もちろん都市の民衆からの支持や権威を示す目的もありましたが。
そうした大富豪や支配階級からの経済的な支援があったからこそ、芸術家たちが活動することができてルネサンスが発展していったんです。

以上の「①黒死病による人間観の変化」、「②ローマ=カトリック教会の権威の低下」、「③イスラーム圏からの諸学問の流入」、「④東方貿易と都市の繁栄による文化支援」を要因として、ヨーロッパでルネサンスが始まったと考えられます。
黒死病による人間観の変化、ローマ=カトリック教会の権威の低下、イスラーム圏からの学問の流入、そして東方貿易と都市の繁栄による文化支援の4つが重なり、「神中心」から「人間中心」への価値観の転換が起こり、古典復興による芸術や学問が大きく花開くルネサンスが起こった。
ルネサンスの担い手
万能人
ルネサンスは失われていたギリシア・ローマの古典文化がイスラーム世界やビザンツ帝国から逆輸入されて、再び研究された運動でもありました。
しかし、だからといって、それまで価値観の中心だったキリスト教を否定したわけではなかったんです。
ローマ=カトリック教会も権威が落ちても健在でしたし、ヨーロッパの人々にとってキリスト教は生活の中にあって当たり前だったんです。

文芸の支援者には教皇もいましたからね。
なので、キリスト教の「神が絶対で、人間は罪深い。」という教会の世界観が全てではなく、人間個人に焦点を当てて、理性や意志の強さや喜怒哀楽の感情を尊重し、身体の美しさを表現しようとしたんです。
こにようにルネサンスを担った芸術家や学者たちは、キリスト教を否定せずに「人間本来のすばらしさ」を表現しようとしました。

絵画でいうと、似たような型にはまったイエスや聖母マリアを描くのでなく、もっと人間らしくリアルに描こうとした感じですかね。


そのもとで、活動家たちの理想とされたのが「万能人」でした。
「万能人」とは1つの芸術だけでなく、文学や絵画、自然科学などさまざまな文芸に精通していた人のことを指します。
代表的な人物としては「モナ=リザ」や「最後の晩餐」で有名なレオナルド=ダ=ヴィンチで、彼は絵画だけではなく、医学や機械、音楽に精通していた万能人が理想とされました。


権力者の保護
ルネサンスは先ほども出てきたように、東方貿易によって富やモノ、文化の交流がさかんだったイタリアの諸都市で起こりました。

14世紀のイタリアで始まったルネサンスは、16世紀までに西ヨーロッパに広がっていきました。
ルネサンスはこうした中世以降で発展した自治都市の教養ある人々によって発展していきました。

モノと情報と文化が一番集まるところですからね。活動家たちもインスピレーションを受けやすいですよね。
しかし、その文化活動の多くは大富豪のメディチ家やフランス王、教皇などの権力者による保護のもとで活動していました。
なので、それまでの宗教の価値観から解放されて自由な文化活動ができたとはいえ、社会を直接批判するような作品や活動をすることはなかったんです。

「社会批判=権力者批判=保護者批判」になっちゃいますからね。芸術活動のスポンサーには悪いことが言えなかったんです。
現代のメディアなどと似てますね。スポンサー企業を批判する報道や番組は放送できないみたいな。

まとめ
MQ:なぜルネサンスが始まり、どのような人たちが担っていたのか?
A:ルネサンスは、黒死病や教会の権威低下、イスラーム文化の流入、都市の繁栄などを背景に、「神中心」から「人間中心」への価値観の転換によって始まった。活動の担い手は、文芸や自然科学などに幅広く精通した“万能人”であり、彼らは権力者の支援を受けながら活動した。

今回はこのような内容でした。

次回は、ルネサンスの2回目として「思考編」についてみていきます。ルネサンスはどのような思考で進んでいき、現代にどんな影響を与えているんでしょうか。
それでは次回もお楽しみに!
「愚者は経験から学び、賢者は歴史に学ぶ。」by ビスマルク
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