世界史を手軽に学びたい方に向けて授業形式でブログ記事を書いています。復習や予習の際に使いやすい内容になっています。「問い」の設定や記事の最後には使用したパワポもダウンロードできます!それではスタンダード世界史探究をどうぞ!※あくまで1例なので、「MQ」や「SQ」、スライド等は自由にアレンジしてください。
はじめに
前回はこのような内容でした。
今回は中国王朝とも関係が深く、遊牧国家の発展に大きな役割を与えたソグド人についてです。
このソグド人はいったいどのような役割を果たしたのでしょうか。
それではみていきましょう!
MQ:ソグド人は中央ユーラシアや東アジアでどんな役割を担っていたのか?
今回の時代はここ!
ソグド人とは?
突厥やウイグルなどの遊牧国家の繁栄にはしたのにはソグド人の貢献がありました。
ソグド人とはイラン系民族で、サマルカンドを中心としたソグディアナ地方に居住して都市国家(オアシス都市)を築いていました。
主に農業を営みながら、足りないものを交易などの商業によって得ていました。
ソグディアナとは「ソグド人の土地」という意味なんですよ。
このソグディアナは西方の文化圏と東方の文化圏の間に位置していたため、古代は大国に従属した時期もありながら、東西の中継貿易によって繁栄していったんです。
この中継貿易こそオアシスの道(シルク=ロードの一部)の隊商交易ですね。これをソグド人が担っていたんです。
遊牧国家との関係
SQ:なぜソグド人は広大な通商ネットワークを構築できたのか?
遊牧国家の強大な軍事力で勢力が拡大してソグディアナを支配下に入れると、ソグド人の隊商交易に目を付けます。
遊牧国家は隊商交易の権益を得るために、強大な軍事力(騎馬)でソグド商人たちを保護し、ソグド商人たちは安心して交易をおこなうことができました。
こうしてソグド人たちの通商ネットワークがさらに拡大していったんですね。
ここで時代ごとの遊牧国家との関係をみていきましょう。
匈奴の支配下に入った時代から中国の漢との絹馬貿易の中継を担っていました。
突厥やウイグルがモンゴル高原から中央アジアまでを支配すると、その保護のもとで東西交易(隊商交易)で大活躍します。
絹馬貿易で中国から仕入れた絹(シルク)を、西方諸国(ビザンツ帝国など)で金属器やガラス製品などに替えて東方諸国(遊牧国家や中国王朝)に持ち込むなどの交易を担っていました。
これらによって東西の文化交流に大きく貢献することになりました。
このような遊牧国家では遊牧民が軍事力を、ソグド人が経済力を依存しあう関係で共生していました。
このようにしてソグド人は遊牧国家の保護をうけながら、中央ユーラシア一帯に及ぶ通商ネットワークを作り上げることができたんですね。
中国王朝(おもに唐)との関係
ソグド人は遊牧民だけでなく、北朝から隋・唐にかけて中国にも進出して定住するようになりました。
7~8世紀になると唐がオアシス地域を含む西域まで領土を拡大したことで、唐の保護のもと東西交易をおこない、唐の長安には多数のソグド人が住むようになっていました。
ソグド人は東西世界に及ぶ通称ネットワークを持っていたし、唐も国際的な人材登用をする国家だったので、唐の社会では外交官や武人となって活躍するソグド人も多くいました。
隊商ルートはそのまま外交ルートとして使用できますし、そのルートは野盗の標的にもなったため、交易ルートを守る護衛部隊が組織されるなど、ソグド人の役割は多岐にわたっていました。
なので、外交官や武人が出てくるのは必然的だったんですね。
唐で節度使となって安史の乱を起こしたのもソグド人の血統であった安禄山でしたね。
文化交流への貢献
宗教
ソグド人の絹馬貿易や隊商交易は、遊牧国家(突厥、ウイグル)や中国王朝(隋、唐)にさまざまな文化をもたらしました。
仏教やゾロアスター教、マニ教などの西方からの宗教が持ち込まれ、中国では各宗教の寺院が造られ、ウイグルではマニ教が国教となったりと影響を与えました。
文字
ソグド人は商人だけでなく、外交官や武人、通訳や芸能者として活躍したため、中央ユーラシア東部ではソグド語が国際共通語となっていきましt。
まあ交易をほぼ独占していたし、多方面で活躍していましたからね。周りがそれに合わせるのは必然といえば必然ですね。
その地域を統括する商人の言語が国際共通語化するのは、古代オリエントのアラム人と同じですね。
ソグド文字はウイグル文字のもとにもなり、その後のモンゴル文字や満州文字へと引き継がれていきました。
モンゴル文字・・・12世紀にモンゴル帝国のチンギス=ハンによって制定
満州文字・・・17世紀に女真族(満州族)が建てた清の公用語
ソグド人からムスリムへ
8世紀に入ると、アラビア半島で誕生したイスラーム教の勢力が急激に拡大してきます。
ウマイヤ朝を中心とするアラブ人によってソグディアナも征服されてしまい、文化や習慣がイスラーム化していきます。
ムスリム・・・イスラーム教徒を指す。
その中でソグド人の文化は他の諸民族に融解していく形で消滅していきました。
ソグド人たちの交易システムはそのままムスリム商人のよって引き継がれていくことになりました。
これ以降はムスリム商人によって通商ネットワークが発展していきます。
まとめ
MQ:ソグド人は中央ユーラシアや東アジアでどんな役割を担っていたのか?
A:東アジアでの絹馬貿易や中央ユーラシアのシルクロード交易(隊商交易)を担ったことで、ユーラシア世界の文化交流に貢献した。
今回はこのような内容でした。
今回で長かった隋・唐の章が終わって、次回から新章の南アジアへと入っていきます。
世界三大宗教の仏教が誕生するなど、のちの歴史で重要となる時代を扱っていきますので、お楽しみに!
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!
「愚者は経験から学び、賢者は歴史に学ぶ。」by ビスマルク
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・『世界史の窓』、世界史の窓 (y-history.net)
・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男・橋場 弦(2022)、『詳説世界史探究』、山川出版社
・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男(2017) 、『詳説世界史研究』、山川出版社
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