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[2-1.3]オアシス社会と遊牧民

2-1.草原とオアシス

世界史を手軽に学びたい方に向けて授業形式でブログ記事を書いています。復習や予習の際に使いやすい内容になっています。「問い」の設定や記事の最後には使用したパワポもダウンロードできます!それではスタンダード世界史探究をどうぞ!※あくまで1例なので、「MQ」や「SQ」、スライド等は自由にアレンジしてください。

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はじめに

グシャケン
グシャケン

前回はこのような内容でした。

グシャケン
グシャケン

今までは遊牧民について話してきましたが、今回はそんな遊牧民と密接に関わっていたオアシスの人々がどんな社会で生きていたのかについてやっていきます。

それではみていきましょう!

MQ:オアシスは遊牧民とどんな関係を築いていたのか?

今回の時代は特定されるものではないので割愛させていただきます!

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オアシスの社会

中央ユーラシアの砂漠や草原地帯にも、山間部からの雪解け水が川や地下水となって点々とした地域を潤していました

その水源を利用できる地域がオアシスですね。そこには古くから人々が住み着いて独自の生活が営まれていました。

オアシスの景観 中国ウイグル自治区のトゥルファン 出典:『詳説世界史探究』山川出版社

そりゃ乾燥地帯の中に水を使えるところがあればそこに住みたくなりますよね。(笑)

オアシスは周辺から独立した生活・経済圏を作っていました。

オアシスの生活・経済圏

都市部・・・市場(商売拠点)や寺院(宗教拠点)があつまる。

農村部・・・灌漑による集約的な農業を営む。

SQ:オアシス都市(都市部と農村部)で起こりえる問題とは?その対策とは?

オアシスにはどのような問題があったのでしょうか?「都市部」と「農村部」でそれぞれ考えてみましょう!

わかりましたか?それでは対策法と一緒に順番にみていきましょう!

都市部

これはオアシスがどのような地域にできたのかを考えてみてください。オアシスとは・・・

砂漠や草原などの乾燥帯の中に点在しています!

グシャケン
グシャケン

そう!周りが乾燥地帯だから水源や穀物に恵まれるオアシスはまさに「楽園」だね。

周りを砂漠や草原に囲まれているので、水や穀物に比較的に恵まれたオアシスは常に周辺から資源を狙われていたんですね。

なので貯蔵庫などの資源が集まっていた都市部には外敵から身を守るための防御施設が備えられていたんです。

SQ:オアシス都市(都市部)で起こりえる問題とは?その対策とは?

乾燥帯に囲まれた特性から、水や穀物などの資源を狙う外敵の侵入が課題であった。従ってそれらから身を守るために防御施設などが設けられた。

オアシス都市の構造

農村部

これも先ほどのオアシスと気候の特徴から理解することができます。

オアシスの水源は豊富だけど、周りが乾燥してるからすぐ干からびそう。

グシャケン
グシャケン

そのなんです。水源があるからといって水量に恵まれていたわけではなかったんですね。当然そのままにしておけば干からびるスピードは他と比べて早かったでしょう。

ということで、水源には恵まれても周りは乾燥地帯です。雪解け水に依存しているので、十分な農耕には水量の確保や蒸発を防ぐことが課題でした。

これらには灌漑の技術を応用することで対策しました。

現在でも中東にはカナートという地下水道技術があり、水の蒸発防止のために人口の地下水路を造り、竪穴を延々と掘いて水源を確保していたんです。

カナート
カナート 出典:教科書だけじゃない〜これからの地理を学ぼう〜、https://ameblo.jp/atsubetsu419531/entry-12593234448.html
SQ:オアシス都市(農村部)で起こりえる問題とは?その対策とは?

水量の確保や蒸発を防ぐためにカナートという地下水路を造ることで、灌漑農業を可能にしていた。

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オアシスの経済

先ほども述べた通り、オアシスは独自の生活・経済圏を作りました。

その中でも特徴だったのが隊商交易(たいしょうこうえき)です。一言でいうとオアシスを利用した中継貿易です。

東の文明圏と西の文明圏が交易する際、中央ユーラシアの乾燥帯を横切るのは至難の業(わざ)です。はやり商人としては途中で一息ついたり取り引きができる中継場所が欲しいところです。

そこでオアシスが交易の中継地として活躍しました。商人たちはオアシスをたどりながら東西のモノを運んで交易をおこないました。このような商人の交易を隊商交易と言うんですね。

なのでオアシスは商人たちが寝泊まりできる隊商宿(キャラバンサライ)が数多く建設され、この中継貿易によって発展しました。現在でも隊商宿の跡地がバザール(市場)として使われているんですよ。

隊商交易
隊商宿の跡地でのバザール 出典:https://www.excite.co.jp/news/article/Tabizine_207756/

このようにして商人たちが使っていた道はオアシスの道」とよばれ、遊牧民が使っていた「草の道」や後にできる「海の道」とあわせて「シルク=ロード」と呼ばれるようになります。

主なオアシス都市

パミール東部・・・タリム盆地周辺部

パミール西部・・・ソグディアナ、フェルガナ etc.

中央アジアを通る「オアシスの道」 出典:『詳説世界史探究』山川出版社
「草原の道」と「オアシスの道」 出典:『詳説世界史研究』山川出版社

あの有名なシルク=ロードはここからきてるんですね。

●なぜ砂漠の商人はラクダを重宝したのか?

砂漠の運び屋といえばラクダですよね。ではなぜラクダなのでしょう。

他の動物のほうが早そうじゃない?

長い砂漠に旅にはラクダの特性が欠かせなかったんです。

まず交易にはモノが必要なので大量にそのモノを運ぶ必要がありました。そこでラクダはなんと一頭で約270キロも運ぶことができるほど力持ちだったんです。これで運搬もへっちゃらですね。

あと最大の特徴はやはり背中の「瘤(こぶ)」です。この瘤の脂肪は酸素と混合すると水を作り出すという珍しい働きをするんです。

これで体内に水を留めておくことができるので、水が手に入らない砂漠でも長期間行動することができたんですね。さすが乾燥地で進化してきた動物です。

交易以外に戦闘でも用いられていたので、実は砂漠の歴史はラクダなしには語れないんです。砂漠やオアシスの人々はラクダ様々だったんです。

ラクダの実用性
ラクダの荷物運搬
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オアシスと遊牧国家との関係

オアシス都市は連合して大きな国家を築くことはなく、周辺の大国の支配下に入ることが多かったようです。

だって水と穀物が手に入って隊商貿易で資源やモノも大量に行き来しますから、周りの国としては欲しくなりますよね。(笑)

なのでオアシス都市の資源や隊商交易の利益は、周辺の遊牧国家にとっても重要でした。さっきも言いましたが資源が手に入るだけでなく、支配下に入れると東西交易の利益も吸い取れるからです。要は儲かるんですね。

強大な遊牧国家だった匈奴は、西のオアシス都市をめぐって漢と取り合って激戦を繰り広げていたほどです。

オアシス地帯の抗争

こうしてオアシス都市はときおり遊牧国家に資源の略奪をうけて支配下に入ることもありました。なので遊牧民とは敵対関係になりそうですが、実は決して悪い仲ではなくむしろ協力関係にあったんです。

遊牧民は基本的に家畜に依存する生活なので、遊牧民は日常的にモノが不足します。それらのモノ(穀物や織物など)を補充するために取り引きしていたのがオアシス都市でした。

日常的にオアシス都市は遊牧民の畜産物(肉、乳製品、毛皮)などと穀物などを交換するWin-Winな関係だったんです。なので、遊牧民もそこまでむやみにオアシス民の生活や社会を破壊することはできなかったんですね。

オアシス民と遊牧民の生活

そして物々交換以外にも隊商交易の商人たちの安全確保も遊牧国家の役目でした。

遊牧国家は隊商路(シルク=ロードなど)の安全を保障することで、商人の交易による利益の一部を受け取っていました。税という形でね。

要するにボディガードですね。逆に隊商人たちはお金で安全を買っていたわけです。このように遊牧民たちに守ってもらいながら安心して商取引ができたんですね。

これらから遊牧国家が隊商路の安全を保障することで、遊牧民とオアシス民の両方に経済的利益がうまれる関係を築かれていきました。まさにWinWinな関係ですね。

隊商交易

遊牧民とオアシスの関係は緊張感はありつつも、お互いに利益にある協力関係でもあったということですね。

この関係があったからこそ、遊牧民は東西文明に進出できたんです。そしてシルク=ロードを使って東西南北世界の交流、すなわち世界のグローバル化にも貢献したわけなんです!

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まとめ

MQ:オアシスは遊牧民とどんな関係を築いていたのか?

A:時には略奪的支配もあったが、基本的にはその関係は互恵的であった。遊牧国家はオアシスを利用した隊商交易の安全を保障することでその利益の恩恵をうけ、オアシスは遊牧国家の後ろ建てを得ることで、隊商交易を円滑に行えることで利益を得ることができた。

今回はこのような内容でした。

次回は遊牧民に翻弄された中国の歴史に戻っていきます。500年もの間続いた春秋・戦国時代に終止符をうつ国が現れ中国が1つになっていきます。その中で遊牧民との外交も出てきますのでご注目ください!ではお楽しみに! 

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!

「愚者は経験から学び、賢者は歴史に学ぶ。」by ビスマルク

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グシャケン
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主な参考文献

『世界史の窓』世界史の窓 (y-history.net)

・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男・橋場 弦(2022)、『詳説世界史探究』、山川出版社

・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男(2017) 、『詳説世界史研究』、山川出版社

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