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[1-2.6]アラム人、フェニキア人

1-2.古代オリエント文明

世界史を手軽に学びたい方に向けて授業形式でブログ記事を書いています。復習や予習の際に使いやすい内容になっています。「問い」の設定や記事の最後には使用したパワポもダウンロードできます!それではスタンダード世界史探究をどうぞ!※あくまで1例なので、「MQ」や「SQ」、スライド等は自由にアレンジしてください。

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はじめに

グシャケン
グシャケン

今回は、現在でも影響を与えている文化が登場します。

その影響を与えた出来事とはどのようなものだったのでしょうか?

それではみていきましょう!

MQ:シリア・パレスチナ地方で多くの民族が台頭したのはなぜか?

今回の時代はここ!

出典:『詳説世界史研究』山川出版社

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シリア・パレスチナの特徴

この地域は今までみてきたメソポタミア文明とエジプト文明の間に挟まれたところに位置しています。

この地域の特徴を一言でいうと「交易です。

SQ:なぜこの地域では交易が活発だったのか?

この問いは商人の気持ちになってみると理解できます。

例えばエジプト産の物を仕入れて、メソポタミアで売って儲けたいと考えた時・・・

エジプト商人
エジプト商人

メソポタミアまで遠いから、途中でメソポタミアの商人と取引できる所があれば楽なんだけどな〜

メソポタミア商人
メソポタミア商人

その気持ちわかります。では間をとってシリア・パレスチナあたりでやりますか?

誰かと会う際に、お互いの中間にある駅で落ち合うということはよくあるかと思います。

今も昔も人は変わりません。昔も取引を行う場所は自然と中間地点に集まっていったんですね。

その取引の中間地点がシリア・パレスチナだったのです。

SQ:なぜこの地域では交易が活発だったのか?

この地域が2つの大文明の中継貿易によってモノとヒトの行き来が活発だったため。

歴史法則

複数の大国に挟まれた(または囲まれた)地域は中継貿易で栄える。

他にもこの地域は地中海への出入り口でもあったため、陸に加えて海の交通の要所でもあったのが特徴です。

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初期交易時代

ここでは前1500年頃からカナーン人が交易を行なっていました。

この民族はエジプト文明の象形文字をもとにした原カナーン文字を考案したことで知られています。

この原カナーン文字、あとあとジワジワ内容に響いてくるので覚えておいてくださいね。笑

しかし、前13世紀ごろになると「あの民族」が再び現れます。民族系統不明「海の民です。

「海の民」についてはこちら!

この時代は当時、鉄のヒッタイト人や新エジプト王国がシリア・パレスチナに勢力を拡大していました。

紀元前15世紀のオリエント諸国
「海の民」の主な活動

ヒッタイト帝国を滅亡させる

エジプト(新王国時代)と争い和睦する

これらの「海の民」の活動によって、ヒッタイトやエジプトが後退し「一大勢力の空白」が起きます。

それに乗じてさまざまな民族が入ってくるんです。

主な民族

●アラム人

●フェニキア人

●ヘブライ人

主にこれらの民族が活発に活動しました。それではそれぞれどのような特徴があるのかみていきましょう!

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アラム人

前12世紀ごろにこの地域に進出してきたアラム人は、各地の都市国家を築いて緩やかな同盟を結んでいました。

中心都市はダマスクスです。

彼らの特徴は「です。内陸都市を結ぶ中継貿易、「内陸中継貿易によって活躍した民族でした。

各都市の物資はアラム人によって運ばれていたんですね。

なので自然と各地の取引で使われる国際商用語アラム語になっていきました。

それまでオリエントでは楔形文字が使われていましたが、アラム人の中継貿易によってアラム語が使われるようになったんですね。

その語は様々な言語に派生していきました。

アラム文字
アラム人の特徴

都:ダマスクス

交易:内陸中継貿易

言語:アラム語、オリエントの国際商用語

アラム人とダマスクス
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フェニキア人

もともとカナーン人の一派だったフェニキア人は、前1200年頃から地中海沿岸に都市国家を建設していました。

中心都市はシドン、ティルスです。

彼らの特徴は「です。ミケーネ文明が滅亡後、地中海貿易を独占して「海上交易」で勢力を拡大しました。

前9世紀には、北アフリカの植民都市カルタゴを建設したりと、地中海全体に植民活動を拡大しました。

植民都市・・・新たに建設された都市国家。母体都市と主従関係はなく、完全に独立している。

船を使用するので、沿岸に拠点があると取引がスムーズに進みます。特産物が取れるところは自然と人が集まって都市ができていったんでしょうね。

ちなみに植民都市カルタゴは前2世紀にローマに滅ぼされるまで、地中海の覇権を握った大都市国家へと発展していきます。

SQ:なぜフェニキア人は海上交易で発展できたのか?

フェニキア人はなぜ海上交易で成功できたのでしょうか?

それは地中海沿岸の地理がわかれば理解することができます。

フェニキア人が拠点としていた地域は、おもに現在のレバノンという国に位置しています。

ここでレバノンの国旗をみてみましょう。

レバノン国旗 出典:世界の国旗 https://www.asahi-net.or.jp/~yq3t-hruc/flag_RE_Lebanon.html

この国旗の特徴はなんといっても真ん中にある「木」ですよね。みなさん自然と目線がそこにいったのではないでしょうか?

この地域は古代からレバノン杉(スギ)が大量に生えていました。木材は加工がしやすく丈夫です。

なので木材は古代から造船や建築材として重宝されていたんですね。

レバノン杉 出典:https://www.istockphoto.com

フェニキア人はこのレバノン杉で交易用の船を造り、さらに木材としてエジプトなど地中海沿岸の各地に輸出することで海上交易で発展できたのです。

SQ:なぜフェニキア人は海上交易で発展できたのか?

レバノン杉で交易用の船を造り、さらに木材としてエジプトなど地中海沿岸の各地に輸出していたため。

フェニキア人とシドン・ティルス
レバノン杉の輸出 出典:『詳説世界史探究』山川出版社

しかし、大量に伐採されたために現在ではほとんど残っておらず、わずかに残ったものは世界遺産として保護されています。

フェニキア文字

フェニキア人は独自の文字も持っていました。

前11世紀頃に生まれたフェニキア文字は、原カナーン文字が派生・改良され作られました。

実はこの文字、先ほど紹介したアラム人の「アラム文字」のもとにもなっているんですね。

その後、ギリシアに伝わり最終的にある文字の源流となりました。

文字体系

フェニキア文字:アレフ、ベート・・

ギリシア文字:アルファ(α)、ベータ(β)・・・

その文字は、この「アレフ、ベート」や「アルファ、ベータ」から始まることからこう呼ばれています。みなさんはわかりましたか?

そう、アルファベットです!

現在でも英語など、世界中で使われているアルファベットを知らないという人はなかなか見つからないでしょう。

フェニキア人がこのアルファベットの源流を作ったことは文化史上最大の功績ともいわれています!

だってみんなが使っている文字ですからそりゃすごいですよね。(笑)

文字の継承 出典:『詳説世界史探究』山川出版社

SQ:フェニキア文字が簡単だったのはなぜか?

フェニキア文字は、それまでの楔形文字(メソポタミア)や神聖文字(エジプト)に比べると非常に簡易的です。

フェニキア文字と楔形文字

ではなぜ簡単なつくりなのか?それはフェニキア人の気持ちになるとおのずとわかってきます。

フェニキア人は海上交易で活躍していましたね。つまり彼らの多くは商人として活動していました。

なので普段から物の取引を大量におこなっています。商売はスピードが命です。取引が多ければ多いほど利益が増えますからね。

取引をする際は記録をとります。しかし、使う文字が難しいと・・・

商人
商人

えーと、では、こちらの商品は・・・(書き書き)

こう書いてこう書いてこうと。これでやっと一文字か、、、

もっと簡単だと楽で時短になるのにな~

ということで、

SQ:フェニキア文字が簡単だったのはなぜか?

取引きをスムーズにおこなう際に、記録を簡潔に書けるようにするため。

そのために改良されたのがフェニキア文字だったんです!

これもフェニキア人のお金儲けから派生したものなんですね。

フェニキア文字の特徴
フェニキア人の特徴

都:シドンティルス

交易:海上交易

言語:フェニキア語←アルファベットの源流

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まとめ

MQ:シリア・パレスチナ地方で多くの民族が台頭したのはなぜか?

A:メソポタミアとエジプトを結ぶ通路であり、また地中海への出入り口として陸海交通の要所であったため、人とモノの行き来が多かった。加えて政治的統一が成されなかったため、多くの民族が時代をかえて台頭した。

今回はこのような内容でした。

次回は残る一つの民族、ヘブライ人についてやっていきます。

宗教的な意味でこの民族の歴史は外すことはできないでしょう。あの有名な神話も登場します!お楽しみに!

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!

「愚者は経験から学び、賢者は歴史に学ぶ。」by ビスマルク

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グシャケン
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主な参考文献

『世界史の窓』世界史の窓 (y-history.net)

・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男・橋場 弦(2022)、『詳説世界史探究』、山川出版社

・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男(2017) 、『詳説世界史研究』、山川出版社

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