世界史を手軽に学びたい方に向けて授業形式でブログ記事を書いています。復習や予習の際に使いやすい内容になっています。「問い」の設定や記事の最後には使用したパワポもダウンロードできます!それではスタンダード世界史探究をどうぞ!※あくまで1例なので、「MQ」や「SQ」、スライド等は自由にアレンジしてください。
はじめに
前回はこのような内容でした。
今回は世界史を動かしてきた遊牧国家をご紹介していきます!それではみていきましょう!
MQ:遊牧国家は大陸にどんな影響を与えたのか?
今回の時代はここです!
ついに日本の年表が出てきましたね!この記事の後半は日本に邪馬台国や大和政権があった時代です。
スキタイ
世界史に最初に登場するのはスキタイと呼ばれる遊牧民国家です。前7世紀ごろに登場し、前6~5世紀に全盛期を向かえた騎馬遊牧民です。主に黒海の北にある草原地帯を支配していました。
この民族は主に東への軍事活動が盛んで、古代オリエント文明にまで及んでいました。ヒッタイトから製鉄技術を学んで、それを東に伝えて騎馬民族文化に大きな影響も与えたんですよ。
まさに遊牧国家のパイオニア的存在です。
交流した文化圏は数が多く、アッシリアやアケメネス朝とも接触していて記録が残っています。特にアケメネス朝の記録には領土拡大の際、スキタイを従属させることができなかったとも記されています。それだけスキタイが強かったのか、遊牧民の特性として従属しずらかったのでしょうかね。
ちなみにギリシア植民市との交流の記録もあるそうです。
初めは略奪が目的でオリエント文明と交戦していましたが、次第に傭兵目的へと変化していって、実際にメディアとアッシリアの戦いでメディア側に救済に入ったりもしていました。
それだけ騎兵の戦闘力が認められていたんですね。
スキタイ文化
SQ:スキタイ美術の特徴とは?
これはスキタイの文化特徴をあらわす装飾品です。いったいどんな特徴があるのか考えてみましょう!
これからわかるスキタイ美術の特徴とは、、、
という感じです。なかには馬が描かれているのもあるので、「鹿など」という文言にさせていただきました。
これらの動物文様を使う文化はスキタイ以外の草原地帯にも広がっていきました。
家畜が財産の遊牧民ならではの文化ですね。
匈奴
中央ユーラシアでは前3世紀の後半にもなると騎馬遊牧民の中で、統合がおきて大きな遊牧国家が出現し始めます。
タリム盆地東部・・・月氏(げっし)
モンゴル高原・・・匈奴(きょうど)
なかでも匈奴は単于(ぜんう)とよばれる君主のもとで強大な遊牧国家を築いて、中国などの農耕文化を脅かしました。
単于(ぜんう)・・・君主の称号。「広く大きい」という意味のモンゴル語からとられた。
一番最初に中国の歴史に匈奴が登場するのは、前4世紀末の戦国時代末期です。戦国の七雄の秦(しん)や趙(ちょう)は匈奴と国境を接していたので、騎馬を用いた戦術を早くから取り入れていたんですよ。
そんな匈奴は秦の中華統一後、秦に領土を押し返され長城を建設されるなど後退してしまいます。この長城は後の王朝たちが増築していき「万里の長城」となっていきます。
まあそれだけ騎馬遊牧民に悩まされていたということですね。
しかし、秦の内乱の間に勢力を回復し、前3世紀末に即位した冒頓単于(ぼくとつぜんう)の時代に最盛期を向かえます。
冒頓単于は実の父を殺して単于の座に就き、遊牧民の月氏を西に撃退して秦に奪われた領土も回復するなど広大な遊牧国家を築きました。
モンゴル草原に本拠地を置いて西と東にそれぞれ王を置くなどの統治をおこない、30万人以上の騎馬と騎射に優れた騎兵勢力を持っていたそうです。おそろしいですね。
騎射(きしゃ)・・・馬上で弓を射ること
匈奴は文字の記録を残さなかったので、主に中国の記録からその社会の様子がうかがえます。
SQ:匈奴に関する記録からわかる遊牧民社会の特徴とは?
文量が多いのでコンパクトにまとめるのは少し難しそうですね。今回はそこまでコンパクトにまとめようとしなくても大丈夫です。それではこんな感じです。
少し長いですがこんな感じです。遊牧民の特徴にもとても当てはまっていますね。
中国(漢)への圧迫
そして東では当時、中国を統一したばかりの漢(かん)帝国を圧迫します。
漢の初代皇帝である高祖(こうそ)は強大化する匈奴を討つべく自ら約30万人の大軍を率いて出陣しましたが、匈奴の巧みな戦法で包囲されてしまい、命からがら敗走した「平城の戦い」は有名ですね。
冒頓単于は前線に老兵や負傷兵を置いて敵を油断させながら後退し、奥まで引き付けたところで約40万の大軍で包囲して兵糧攻めするという作戦で高祖を敗走させました。賢いですね。
その後、漢と匈奴は和親条約を結びました。漢皇帝の娘を嫁がせたり、毎年大量の食糧や生活用品を献上するなど漢に負担の大きい内容でした。
・漢皇帝の娘を単于の夫人として差し出し、両国は婚姻関係を結ぶ。
・毎年、漢は匈奴に綿、絹、酒、米その他の食物などを献上する。
・漢皇帝と匈奴単于は兄弟の盟約を結ぶ。
引用:「世界史の窓」冒頓単于 (y-history.net)
匈奴の分裂
しばらくは漢を圧迫していましたが、冒頓単于が亡くなって漢の勢力が増してくると、逆に漢に攻勢をかけられて匈奴は後退してしまいます。
前2世紀に漢の7代目皇帝に即位した武帝から匈奴への本格的な攻勢がはじまった。
そして単于の後継者争いが起こるなど匈奴国内は混乱してしまい、劣勢になった勢力が漢に援助を求めたことで、前1世紀に匈奴は東西に分裂してしまいました。
そして、漢についた東匈奴は再び勢力を取り戻しますが、後1世紀にまた内部抗争がおきて劣勢側がまた漢(この時は後漢)に救済をもとめたので、今度は南北に分裂してしまいます。
この匈奴が混乱している間に、他の遊牧民が勢力を増して北匈奴を滅ぼすなど、かつての強大な匈奴帝国は見る影を失いました。
遊牧国家の特徴である興亡が頻繁に起こったという特徴どおりですね。
東西文明に影響を与えた遊牧民
東(アジア)
後3世紀には遊牧民の活動が活発になり、中国では魏(ぎ)・呉(ご)・蜀(しょく)の三国がしのぎを削り、最終的に晋(しん)という国が中華を統一を果たしました。ゲームなどでも有名な三国志ですね。
その頃にかけて中央ユーラシアでは鮮卑(せんぴ)などの五胡(ごこ)が中国王朝の傭兵として勢力を伸ばして華北に進出してきます。
・鮮卑(せんぴ)・匈奴(きょうど)・羯(けつ)・氐(てい)・羌(きょう)
この五胡は中国の晋が八王の乱という内乱の際に、傭兵として中国内部に進出して、最終的に五胡のひとつである匈奴が晋王朝を滅ぼしてしまいます。
その後、南には晋の後継である東晋(とうしん)が建ちますが、北はこの五胡がなんとたて続きに16もの王朝を建ててしまいました。
めっちゃ国たてるじゃん!
て感じですね。(笑)
この時代を五胡十六国時代といいます。これによって遊牧民が農耕民である漢民族を統治する体制ができ、二つの文化が交わり合う独自の文化ができていくことになります。
なかでも鮮卑は北を統一し北魏という国家を築きました。そこで均田制など後の中国王朝が模倣するような統治をおこない、魏晋南北朝時代の一角を担っていくことになります。
中国国内には現在でも1億人をこえる少数民族が暮らしていますが、それほどの多様性はこれらの歴史も関係しているんですね。
西(ヨーロッパ)
一方、西のヨーロッパでは遊牧民によって大混乱を呼ぶ大事件がおきました。
4世紀に起こったフン人の西進によるゲルマン人の大移動です。
フン人とはアジア系の遊牧民で、一説では前1世紀に漢に討伐されて南北に分裂した匈奴にうち、西に追いやられた北匈奴の子孫ではないかといわれています。しかし、不明な点も多いことから確証はありません。
このフン人がゲルマン人の国家に進入したことでドミノ式にゲルマン人の移動が起こり、当時ヨーロッパを牽引(けんいん)していたローマ帝国にゲルマン人が大流入してしまいます。
まあこれをみればカオス(混沌)だということはおわかりいただけるでしょう。
ローマ帝国はこの民族大移動で国内が混乱してしまい、最終的に東西に分かれた後、西ローマ帝国はゲルマン人傭兵によって滅亡してしまうのです。
現在でも紛争などによる難民流入は、周辺国の経済や治安に影響をあたえるなど国際問題に発展します。歴史は繰り返すとはこのことでしょう。
まわりまわってフン人が原因で西ローマ帝国は滅亡したといっても過言ではありません。それほどこのフン人の侵攻はヨーロッパに影響をあたえました。
そのフン人は5世紀のアッティラ王の時に最盛期を向かえ、パンノニア(現在のハンガリー)を中心に東西ローマ帝国を圧迫しました。しかしアッティラの死後は急速に衰退し、滅亡することになります。
記録ではフン人の侵攻はすさまじく、ヨーロッパの歴史のなかでもトラウマとして描かれることが多いです。
まとめ
MQ:遊牧国家は大陸にどんな影響を与えたのか?
A:東は匈奴や鮮卑などが中国華北に進入して中国王朝の興亡に影響を与え、漢民族と交わりながら独自の文化を形成して、その後の中国文明にも影響を与えた。西はフン人の侵入によって民族大移動を招き、ローマ帝国などヨーロッパの国家分布を大きく変えるなどの影響を与えた。
今回はこのような内容でした。
次回はそんな世界に影響を与えた遊牧民と密接に関わっていたオアシスの人々の生活と経済についてやっていきます。お楽しみに!
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!
「愚者は経験から学び、賢者は歴史に学ぶ。」by ビスマルク
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・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男・橋場 弦(2022)、『詳説世界史探究』、山川出版社
・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男(2017) 、『詳説世界史研究』、山川出版社
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