世界史を手軽に学びたい方に向けて授業形式でブログ記事を書いています。復習や予習の際に使いやすい内容になっています。「問い」の設定や記事の最後には使用したパワポもダウンロードできます!それではスタンダード世界史探究をどうぞ!※あくまで1例なので、「MQ」や「SQ」、スライド等は自由にアレンジしてください。
はじめに
前回はこのような内容でした。
唐後半にかけての社会変化によって、文化面でも変化が起きました。その変化とはどのようなものだったのか?
それではみていきましょう!
MQ:唐の社会変化によって文化はどう変化したのか?
今回の時代はここ!
新興地主層の出現
SQ:貴族階級はなぜ没落したのか?
唐は魏晋南北朝から続く貴族が荘園(大土地)を所有し、上級官僚を独占する貴族が中心の時代でした。
しかし、謳歌(おうか)していた貴族にも唐の後半から陰りが見え始めます。
武則天(ぶそくてん)が周(武周)を建国した際に、旧勢力(貴族)を遠ざける目的で科挙官僚を上級官僚に抜擢し始めたことで、貴族階級が徐々に政治から遠ざけられるようになっていきます。
そこから唐では、安史の乱などによって国内が荒廃し、藩鎮などの節度使が権限を拡大して地方政権化するなど、貴族の権威はますます弱くなっていきました。
両税法によって私有地の所有が認められたことで、経済発展の恩恵をうけた富裕層たちが土地を買いあさり、新興の地主層として荘園が各地で作られていきました。
さらに黄巣の乱の後は藩鎮などの地方有力者が政権を興亡する状態となったため、唐を支えていた貴族たちは没落していったんですね。
この新興地主層は、後に中国統一を果たす宋で形勢戸(けいせいこ)と呼ばれて王朝を担う存在へとなっていきます。
文化
唐後半にかけての社会変化は文化でも変化を引き越しました。
文学
それまでの文学は形式が重んじられていました。形式や決まり事があることで綺麗で華のある詩や文章を読むことができました。
しかし、その決まり事は多く、それを使って楽しんでいたのも王朝を出入りする貴族達だけでした。
なので、その形式的なルールの中で技術が求められる文学よりも、漢代以前に行われていた自由な表現を求めようとする考えが出てきます。
それを唱えたのが韓愈(かんゆ)と柳宗元(りゅうそうげん)です。この2人はともに貴族出身ではなく科挙によって成り上がった官僚でした。2人とも官僚として不遇でしたが、唐を代表する文学者として評価されています。
このように文学では漢代以前の復興文学が起きました。文学ルネサンスですね。
ルネサンス・・・フランス語で「再生、復活」の意味
他にも同じく科挙官僚であった白居易(はくきょい)は、詩をわかりやすい言葉で表現して大衆に受け入れられ、唐を代表する詩人でした。
代表作は玄宗(げんそう)と楊貴妃(ようきひ)の悲しい恋模様を描いた『長恨歌(ちょうごんか)』が有名です。
白居易や唐後半の長安に様子は映画『空海-KU-KAI-美しき王妃の謎』で観ることができるので、興味のある方はぜひ見てみてください。
絵画、書道
これらの文化にも、貴族が好む形式的なものではなく、個性的な技法を追求しようとする動きがありました。
絵画
玄宗時代に宮廷画家として活躍したのが、山水画の呉道元(ごどうげん)です。
呉道元は六朝文化からの繊細な描き方ではなく、自由で自然を生き生きと描く技法を作り出し、数多くの作品に同じものは1つもなかったといわれています。
自然画では、岩や山などを立体的に描く技法で山水画の基礎を築いた人物でもあります。
書道
こちらも玄宗時代に地方長官ながら、新たな書道を切り開いたのが顔真卿(がんしんけい)です。
すごい複雑な漢字と読み仮名ですね。(笑)
顔真卿も六朝時代からの貴族的な繊細な技法ではなく、自由な力強い書法で書法界に変革を起こしました。
まとめ
MQ:唐の社会変化によって文化はどう変化したのか?
A:社会では唐の衰退・滅亡とともに貴族が没落したことによって、地方では新興地主層が出現して新たな荘園を形成した。文化面では魏晋南北朝から続いた貴族的で閉鎖的だったものが、科挙官僚たちを中心に自由に表現しようとする文化が花開いた。
今回はこのような内容でした。
次回は隋の時代から関係の深かった遊牧民たちをみていきます。経済や軍事面で彼らなしでは隋・唐の歴史は語れません。いったいどんな関係を築いていたのか。それではお楽しみに!
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!
「愚者は経験から学び、賢者は歴史に学ぶ。」by ビスマルク
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・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男・橋場 弦(2022)、『詳説世界史探究』、山川出版社
・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男(2017) 、『詳説世界史研究』、山川出版社
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