世界史を手軽に学びたい方に向けて授業形式でブログ記事を書いています。復習や予習の際に使いやすい内容になっています。「問い」の設定や記事の最後には使用したパワポもダウンロードできます!それではスタンダード世界史探究をどうぞ!※あくまで1例なので、「MQ」や「SQ」、スライド等は自由にアレンジしてください。
はじめに
前回はこのような内容でした。
今回からヨーロッパ文明に入っていきます。まずヨーロッパとはどんな環境でどんな人々が暮らし、どんな特徴があったのかをみていきます。
それでは一緒にみていきましょう!
MQ:なぜヨーロッパでは多様な文化が形成されたのか?
今回は地域についての説明なので、年表は全体を載せておきます。
ヨーロッパとは?
まず「ヨーロッパ」という地名はいつ頃から呼ばれていたか知っていますか?
実は古代のギリシア文明から「ヨーロッパ」という地名が使われていて、アジアやアフリカと並ぶ世界を構成する三大地域として認識されていたんですよ。
しかし、ギリシア文明でのヨーロッパはあくまで現在の南ヨーロッパ周辺のことを指して、それより北は異民族が暮らす「田舎」程度にしか思っていなかったそうです。
なのでみなさんが想像するヨーロッパの位置とは少し違っていたことに注意しておきましょう。
ちなみにヨーロッパとは英語で「Europe」と書き、これはギリシア神話の中の神ゼウスがフェニキア王の娘「エウロペ」をクレタ島に略奪したことから付けられたそうですよ。
で、この「ヨーロッパ」は具体的にどこからどこまでの範囲なのかというと、
おおまかに言うと、ユーラシア大陸の西端の半島部分がヨーロッパになります。
ちなみに東で隣り合わせのアジアとの境界線は、
・ウラル山脈~カフカス山脈
・カスピ海~黒海~エーゲ海
という感じになります。
では、次はヨーロッパにはどんな環境があるのかについてみていきましょう。
環境
アルプス山脈以北(北部)
アルプス山脈より北の地域は比較的平坦な丘と平野が広がっているのが特徴です。
そこには多くの大河が流れていて、物資輸送に不可欠な水路として機能しています。
気候的は大陸性気候で夏は暑いんですが、冬は寒く、一年を通して乾燥しているのが特徴です。
12世紀までは現在よりもずっと気温が低かったんですよ。
地中海沿岸(南)
地中海沿岸の地域は地中海性気候に属しています。
これは夏は暑くて乾燥して、冬に少量の雨が降るというのが特徴です。
山がちな地形でもあるため、穀物栽培には向いておらず、地形を活かした果樹栽培などが盛んです。
地中海の東側や南側にはエジプトやメソポタミアなどの穀物地帯があったので、古代から地中海沿岸のヨーロッパは、海洋交易によって繁栄していましたね。
ワインで使われるブドウや、地中海料理に欠かせないオリーブなどが特産ですね。
ここは古代ギリシアでも触れましたね。
大西洋側(西)
大西洋に面している地域は、西岸海洋性気候に属しています。
西岸海洋性気候とは、夏は涼しく冬も暖かいという気候で、日光の明かりは比較的少ないんですが、温暖・湿潤なので植物が育ちやすく、穀物の栽培や牧畜などに適している環境なんです。
小麦やチーズなどが特産ですよね。
私はフランスパンやチェダーチーズを連想してしまいます。
大陸側(東)
西側とはかえって東側では大陸性気候と呼ばれ、比較的寒冷で乾燥しているのが特徴です。
穀物栽培には向いてないんですが、遊牧などには向いているので、東端では中央ユーラシアの大草原に繋がっています。
多様な文化
人々の移動
このような環境があるヨーロッパでは、常に歴史の中で人の移動が絶えず起こっていました。
SQ:ヨーロッパでは人々の流れはどのように移動していたのか?
では今までのヨーロッパの環境を踏まえて、人々がどのように移動したのかを考えてみましょう!
いきなり言われてもイメージできないです。
たしかにいきなり振られると難しいかもしれませんね。
ヒントとして、人は常に富を求めてきた生き物です。
なので、ヨーロッパで富があるところと無いところに分けて考えてみましょう!
みなさんはわかりましたか?
さっき説明した通り、ヨーロッパで富、すなわち資源が豊富な地域と乏しい地域に分けるとおのずと移動ルートがわかってきます。
加えて気候などの環境だけでなく、文明レベルというと、各時代で先進的だったオリエント文明や、ギリシア文明、ローマ文明などはヨーロッパのどこに位置していたでしょう?
それらも参考にしながら考えてみてください。
先ほどの地域ごとに分けて考えてみると、
・アルプス山脈以北(北)・・・大陸性気候で寒冷で乾燥しているため、穀物栽培に向いているわけではない。
・地中海沿岸(南)・・・地中海性気候で果樹栽培が盛ん。地中海を活かした海洋交易で繁栄。
・大西洋側(西)・・・西岸海洋性気候で穀物栽培や牧畜が盛んで資源が豊富。
・大陸側(東)・・・大陸性気候で寒冷で乾燥しているため、穀物栽培に向いているわけではない。
この上の資料を参考にすると、人々はどこからどこに移動したでしょうか?
南は海上交易で、西は農耕・牧畜で資源が豊富なので、そこに向かって移動したと思います。
その通りです。
このようなヨーロッパの自然環境や地理によって、人々は東から西へ、また北から南への移動が絶えず起こっていたんです。
多様な文化
この人々の移動によって、さまざまな文化が混ざり合って多様な文化が形成されていきました。
西方系のヨーロッパ、西アジア、南アジアで広く使われている言語族です。
現在の英語などのヨーロッパで使用されている言語や、インドのヒンディー語、イラン語などあります。
ヨーロッパでは、
[南]:ギリシア人、イタリア人、スペイン人
[西]:ケルト人、ゲルマン人
[東]:スラヴ人 など
ウラル語系はシベリア や北ヨーロッパ 、 東ヨーロッパ で使われている言語族です。
アルタイ語系はヨーロッパのバルカン半島から日本に至るまで、アジアの広範囲にわたって使用されている言語族です。トルコ語族、モンゴル語族、満州語族の3つの言語族から形成されています。
ヨーロッパでは、
マジャール人、フィン人、フン人など
これだけの民族が混ざり合いながら文化を形成していたヨーロッパですが、時にはイスラーム教の進入などの外部勢力によってヨーロッパ文化にも影響が与えられました。
まとめ
MQ:なぜヨーロッパでは多様な文化が形成されたのか?
A:多様な自然環境によって、人々の移動が絶えず起こったことで文化が混合し、多様な文化が形成された。
今回はこのような内容でした。
次回はヨーロッパの民族分布とゲルマン民族の移動を詳しく見ていきます。なぜ民族の大移動が起こったんでしょうか。
それでは次回もお楽しみに!
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!
「愚者は経験から学び、賢者は歴史に学ぶ。」by ビスマルク
この記事で使用した授業スライドのダウンロードはこちら↓
・『世界史の窓』、世界史の窓 (y-history.net)
・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男・橋場 弦(2022)、『詳説世界史探究』、山川出版社
・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男(2017) 、『詳説世界史研究』、山川出版社
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