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[5-1.4]アッバース朝

5-1.イスラーム教の誕生と拡大

世界史を手軽に学びたい方に向けて授業形式でブログ記事を書いています。復習や予習の際に使いやすい内容になっています。「問い」の設定や記事の最後には使用したパワポもダウンロードできます!それではスタンダード世界史探究をどうぞ!※あくまで1例なので、「MQ」や「SQ」、スライド等は自由にアレンジしてください。

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はじめに

グシャケン
グシャケン

前回はこのような内容でした。

グシャケン
グシャケン

今回はイスラーム政権がウマイヤ朝からアッバース朝へと移ります。ウマイヤ朝はなぜ滅亡してアッバース朝はどんな統治をおこなったのか?

それでは一緒にみていきましょう!

MQ:アッバース朝の統治の特徴とは?

今回の時代はここ!

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アッバース朝の建国

SQ:なぜウマイヤ朝は滅亡したのか?

正統カリフ時代の後、カリフを世襲制としたウマイヤ朝は領土を拡大して、アラブ人優遇政策をおこなう「アラブ帝国」として君臨していましたね。

しかし、次第にイラン人などの非アラブ人の中にも、イスラーム教へ改宗する人が増えてきます。

ちなみにこの非アラブ人でイスラーム教へ改宗した人をマワーリーといいます。

イスラーム教はもともと信徒であれば平等であることを説いていましたよね。

なので、

マワーリー
マワーリー

同じイスラーム教徒なのにウマイヤ朝の政策は不平等じゃないか!

と、このようにマワーリー(新改宗者)たちはウマイヤ朝のアラブ人優遇政策に不満を持っていました。

ウマイヤ朝 マワーリーの不満

そりゃ自分たち(非アラブ人)だけ課税されてたら文句も言いたくなりますよね。

こうしてウマイヤ朝への反対勢力が大きくなっていくと、ある有力な一族が台頭してきます。

それが創始者ムハンマドの血統を引くアッバース家というところでした。この一族はムハンマドの叔父のアル=アッバースの子孫でした。

アッバース家はアブー=アルアッバースを中心に反対勢力を拡大していき、マワーリーだけじゃなく、シーア派も味方につけてウマイヤ朝への反対運動を開始していきます。

イラン系遊牧民を中心としたクーデター軍は王朝の西側で挙兵して、ウマイヤ朝が派遣した討伐軍を見事に撃退しながら中心地の西へ進んでいきます

そして、追い込まれたウマイヤ朝のカリフは逃亡してエジプトで殺害されてしまったことでウマイヤ朝は滅亡し、新たにアブー=アルアッバースがカリフとなってアッバース朝が建国されました。

SQ:なぜウマイヤ朝は滅亡したのか?

アラブ人優遇政策によって、非アラブ人のマワーリー(新改宗者)やシーア派による反対運動が起きたため滅亡した。

アッバース朝の建国 アブー=アルアッバース
グシャケン
グシャケン

ちなみにアッバース朝はスンナ派であるウマイヤ朝を倒すためにシーア派と協力しましたが、王朝成立後はスンナ派となってシーア派を弾圧しています。

多数派を味方につけた方が統治はしやすいですから、シーア派は使い捨てにされたというわけですね。

アッバース朝が建国された直後に、中央アジアで中国王朝の唐と激突したタラス河畔の戦いに勝利して、中央アジアのイスラーム化もおこなっています。

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新都バグダード

SQ:アッバース朝の繁栄を支えた要因とは?

アッバース朝は2代目マンスールの時代に王朝の基礎が築かれます。

マンスールは国家の中心をシリアのダマスクスから、土地が肥沃(ひよく)でティグリス川が流れるイラン・イラクに移します。

肥沃・・・土地が肥えていて作物がよくできること。

グシャケン
グシャケン

イラン、イラクは古代メソポタミア文明が繁栄したところでしたね。

メソポタミア文明についてはこちら!

ここに建設されたのが、新都バグダードです。

このバグダードは、3重もの城壁に囲まれた円形の都市になっていました。

バグダード
バグダード

城壁内には、カリフとその一族(アッバース家)の住居、官庁、軍隊の駐屯地などがあり、周辺には商人や職人の居住区がある作りになっていました。

グシャケン
グシャケン

バグダードにはどんな特徴があったんでしょうか?

さきほどのバグダードの地図を見ながら考えてみましょう。

河川や運河に囲まれているところに建設されていて、東西南北に道が伸びています。

グシャケン
グシャケン

たしかにそうですね。

では、それらはどんな役割を果たすでしょうか?

都市が円形なので各方面から物資の出入りがしやすいし、周りの運河や道が整備されていることで、モノやカネ、ヒトの流れがスムーズになるようにしていると思います。

グシャケン
グシャケン

その通りです。

各方面に伸びる道路や運河が建設されていることで、広大な領土からモノや税金があつまりやすく、都市が円形だと各方面からの出入りがスムーズにできますね。

バグダードから伸びている道路や運河は「オアシスの道」や「海の道」に繋がっていて、それらの交易路を使って各地との交易が活発になりました。

アッバース朝は領土が広大だったので、交通路比較的安全です。

なのでイスラーム教徒の商人であるムスリム商人たちは自由に交易ができるようになり、バグダードと各地を結ぶ交易を発展させました。

加えて運河の建設は運搬だけではじゃなく、灌漑も大規模に開発されて農地の生産力が格段にアップしました。

バグダード周辺はもともと「肥沃な三日月地帯」と呼ばれて土地が肥えていたので、灌漑の発達は多くの人口をまかなうことに貢献したんですね。

これらの理由からバグダードはアッバース朝の首都として、経済的な支えとなってその後の繁栄の要因となったわけなんです。

SQ:アッバース朝の繁栄を支えた要因とは?

新都バグダードから各方面に伸びる道路や運河が建設されたことで、広大な領土からモノや税金が集まりやすく、円形都市によって各方面からの出入りが円滑になったことで、ムスリム商人の交易が活発になり、経済的繁栄の土台となったこと

マンスール バグダードの発展
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イスラーム帝国

アッバース朝はウマイヤ朝のアラブ人優遇政策に不満をもっていたことに対して、クーデターを起こして誕生した王朝でしたよね。

なので、税制度を中心に政策の改革がおこなわれます。これによってウマイヤ朝から続いたアラブ人の特権は次第に失われていくことになってしまいました。

官僚制度の平等化

それまでアラブ人貴族が独占していた官僚も非アラブ人であるイラン人などを中心に採用されるようになり、多民族で構成される統治体制を築きました。

税制度

それまではウマイヤ朝ではイスラーム教徒に関係なく、非アラブ人に対して人頭税(ジズヤ)や地租(ハラージュ)が課税されていました。

ウマイヤ朝の税制度

これも非アラブ人であってもイスラーム教改宗(マワーリー)すれば人頭税(ジズヤ)が免除されるようになったんです。

加えて地租(ハラージュ)に関しては、アラブ人であっても征服地に土地を持っていれば課税対象となり、アラブ人に対しても課税するようになったんです。

イスラーム教徒に改宗しない非アラブ人に関してはそれまで通り、両方が課されました。

アッバース朝の改革 官僚制 税制

「アラブ帝国」から「イスラーム帝国」へ

これらの改革によってアッバース朝は、それまでのアラブ人主体の「アラブ帝国」から、非アラブ人のイスラーム教徒も平等に扱い、イスラーム教の教えに従順な「イスラーム帝国」へと変化したといえますね。

簡単にまとめると、、、

正統カリフ~ウマイヤ朝(アラブ帝国民族主義

アッバース朝(イスラーム帝国宗教主義

みたいな感じですかね。

グシャケン
グシャケン

ちなみにアラビア語もアラブ人だけではなくイスラーム教徒の共通言語として王朝内で使われるようになりました。

イスラーム帝国
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帝国の全盛期

バグダードの経済的な繁栄によって5代目カリフのハールーン=アッラシードの時代にアッバース朝は全盛期を向かえます。

ハールーン=アッラシードは芸術文化が好んでいたので、多くの芸術家を保護してバグダードで積極的に活動させました。

エジプトのムセイオンにあったギリシア語の書物をアラビア語に翻訳するために、専用の施設を建設するなど、イスラーム文化発展に大きく貢献しました。

これらによってバグダードでは文化も発展し、イスラーム文化が開花して、経済・文化ともに王朝は全盛期を向かえたというわけなんです。

●サーマッラーのモスク

サーマッラーのモスク 資料:『詳説世界史探究』山川出版社

イラク北部のサーマッラーに残っているアッバース朝のカリフによって9世紀半ばに建造されたモスクのミナレット。(引用:『世界史探究』、山川出版社)

アッバース朝の全盛期
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まとめ

MQ:アッバース朝の統治の特徴とは?

A:それまでアラブ人だけを優遇する統治から、官僚制や税制面でイスラーム教徒の平等化を図る統治をおこない、「アラブ帝国」から「イスラーム帝国」へと変貌させたこと。

グシャケン
グシャケン

今回はこのような内容でした。

次回はイスラーム文化の成立についてやっていきます。イスラーム教の具体的な信仰やどんな文学が誕生したのかをみていきます。イスラーム文化にはどんな特徴があるのでしょうか?

それでは次回もお楽しみに!

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!

「愚者は経験から学び、賢者は歴史に学ぶ。」by ビスマルク

この記事で使用した授業スライドのダウンロードはこちら↓

グシャケン
グシャケン

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主な参考文献

『世界史の窓』世界史の窓 (y-history.net)

・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男・橋場 弦(2022)、『詳説世界史探究』、山川出版社

・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男(2017) 、『詳説世界史研究』、山川出版社

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