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[3-2.1]グプタ朝とヒンドゥー教

3-2.インド古典文化とヒンドゥー教

世界史を手軽に学びたい方に向けて授業形式でブログ記事を書いています。復習や予習の際に使いやすい内容になっています。「問い」の設定や記事の最後には使用したパワポもダウンロードできます!それではスタンダード世界史探究をどうぞ!※あくまで1例なので、「MQ」や「SQ」、スライド等は自由にアレンジしてください。

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はじめに

グシャケン
グシャケン

前回はこのような内容でした。

グシャケン
グシャケン

今回は新たなグプタ朝のもと、ヒンドゥー教が現れます。ヒンドゥー教とはいったいどんな宗教なのか?一緒にみていきましょう!

MQ:グプタ朝のもとで定着したヒンドゥー教はどんな特徴があるのか?

今回の時代はここ!

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グプタ朝

北インドの統一

インド史上初の統一国家だったマウリヤ朝は、アショーカ王以降財政難などによって衰退していき、前180年に滅亡してしまいます。

そこからインドはなんと約500年ものあいだ分裂状態が続き、群雄割拠の時代でした。

そして4世紀になると、マウリヤ朝と同じマガダ地方を拠点とした王朝が現れます。

それが後に北インドを統一するグプタ朝です。

都もマウリヤ朝と同じパータリプトラで、創始者も同じチャンドラグプタを名乗っていたんですよ。ややこしいですね。(笑)

マガダ地方はもともと穀物や鉱物に恵まれた地域でした。なのでそこをめぐる争いも激しかったと思いますが、そこを安定して支配できると優位につけそうですね。

2代目の時に北インドをほとんど統一し、デカン高原を終えて半島の南端にまで遠征をおこないました。

しかし、南インドは併合することなく、貢納と帰属をもとめて従属関係を結ぶだけに留めました。

そして3代目のチャンドラグプタ2世の時代には、かつてアショーカ王が支配した地域とほぼ同じ北インドの全域を支配して、グプタ朝は全盛期を向かえます。

グプタ朝

統治体制

それまでの分裂時代が長く、それぞれの地域で独自の統治がおこなわれていた影響で、グプタ朝のもとでは分権的な統治体制が築かれました。

グシャケン
グシャケン

中国の戦国時代を統一した秦では、中央集権的な統治が原因で短命で終わっていましたね。

敵に支配され、いきなりやり方を変えられると反発を招きやすいですからね。

歴史法則

分裂期統一後の中央集権的な統治は短命に終わる。

グプタ朝の支配領域は、以下のようになっていました。

中央の直轄領 → 旧支配者が臣下として統治する領土 → 領主が貢納する周辺の属領

グプタ朝の統治

中国の前漢の統治体制と似ているところがありますね。

バラモンの復権

グプタ朝では仏教やジャイナ教が盛んで、チャンドラグプタ2世の時代には中国の東晋から法顕(ほっけん)が訪問して多くの仏典を中国へと持ち帰りました。その旅路を記したのが『仏国記』でしたね。

しかし、仏教やジャイナ教の盛り上がりによって影響力を弱めていたバラモンもグプタ朝の時代に復権していくことになります。

SQ:なぜグプタ朝のもとでバラモンが復権したのか?

この時代、文化の中心だった首都のパータリプトラでは古典文化の復興運動が起きていました。

古典は主にバラモン文化であったため、いわゆる「バラモン・ルネサンス」が起きたんですね。

ではなぜグプタ朝の時代にこのような古典復興がおこったのでしょうか?

長い分裂期を経て、比較的平安な時代が来たので、文化が盛んになったと思います!

グシャケン
グシャケン

そうですね。戦乱の世では文化に目を当てている余裕はありませんからね。

バラモン文化が見直されたことで、バラモンたち自身に日の目が浴びたのではないでしょうか。

当時は王朝からバラモンに村落からの租税収入が与えられるなど、特権的な待遇をうけるまでになっていきました。

SQ:なぜグプタ朝のもとでバラモンが復権したのか?

比較的平和な時代が訪れたことで、古典文化の復興運動が起きたことでバラモンの立場も見直されたため。

宮廷内でもバラモンの権威が上がっていったため、バラモンの日常語であったサンスクリット語が公用語として使用されるようになりました。

サンスクリットとは「気高く立派で完全かつ純粋で神聖な上品な言葉」という意味を持ち、古代インドの『ヴェーダ』にはすでにみられていたそうです。

バラモンの復権とサンスクリット語
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ヒンドゥー教

ヒンドゥー教の定着

バラモンたちが信仰していたバラモン教は祭式以上主義に陥って頭打ちとなっていました。

しかし、民間信仰を吸収して大衆化していくなどしてヒンドゥー教へと姿を変え社会に定着していきました。

このように権威であったバラモン教が民間信仰と融合したことで、「バラモン教の大衆化」が起きたことで、バラモン以外の身分にもヒンドゥー教が普及していったんですね。

グシャケン
グシャケン

現在ではインド国民の約8割も占めるメイン宗教になっています。人口にしてなんと10億人です。

ヒンドゥー教 = バラモン教(+民間信仰)

となるため、ヒンドゥー教とは「大衆化されたバラモン教」ということになり、バラモン教も「仏教成立以前の古代ヒンドゥー教」と言うことができるんです。

なので、ヒンドゥー教もカースト制を基本とした生活なので身分差別が現在でも続いています。

ヒンドゥー教

宗教的特徴

●始祖と経典が無い

伝統のバラモン教と民間の民族宗教が融合したものであるため、正確な始祖や経典が無いんです。

『リグ=ヴェーダ』の賛歌や、社会的規範が記された『マヌ法典などはなりますが、これは経典ではなく、あくまでヒンドゥー教の教えをベースにして作っているものなので内容が変更可能なんです。

マヌ法典』・・・前2~後2世紀にかけて作られた法典で、4つのヴァルナがそれぞれ遵守すべき規範について規定し、バラモンの特権が強調されている。

●多神教

ヒンドゥー教は民間信仰を吸収したことから、多神教ですが特に三位一体の最高神が存在しています。

ヒンドゥー教の最高神

ブラフマー(創造神)、ヴィシュヌ(維持神)、シヴァ(破壊神)

インドではこの3神によって、「創造」→「維持」→「破壊」→「創造」・・・と繰り返されると考えられています。

中でもシヴァ神とヴィシュヌ神が人気で、それぞれで信仰集団ができて対立を起こすほどでした。

ヒンドゥー教の三神

●他宗教に寛容

現在イスラム教との対立はありますが、基本的には融和を図ろうとする習性があります。

柔軟的に民間信仰を吸収していっただけのことはありますね。

バラモン教を否定する仏教やジャイナ教に対しても親近的で、むしろ解釈によってヒンドゥー教持ち前の”吸収”を図ろうとするほどです。

「実はブッタはヴィシュヌ(神)が姿を変えてこの世に降り立ったのです。」みたいな。(笑)

●ガンジス川への崇拝

ヒンドゥー教ではガンジス川は「女神がもたらした聖なる川」といわれているため、信者たちは沐浴を通して崇拝しています。

ガンジス川は古代から生活を支えてきた水源だったので、信仰対象になるのも必然的ですね。

しかし、現在は水質汚染が問題になっているため、沐浴は衛生的には問題がありそうですが・・・

死者が出た際は火葬して遺骨をガンジス川に流すそうです。

ガンジス川の沐浴

●牛の崇拝

牛はヴィシュヌ神の乗り物のため、神が宿っていると考えらえています。

なので、当然殺すことは重罪にあたるためヒンドゥー教では牛肉を食べることが禁止されています。

ちなみに牛の糞尿も神聖なのでお浄めに使用されているそうです。

ヒンドゥー教の牛肉禁止

●女性蔑視と不浄

ヒンドゥー教で女性は学ぶことができないと考えられていたので、身分として一番下枠外に不可触民)のシュードラ(農牧民)と同じ扱いでした。

なので、家庭では妻は夫と一緒食事を採ることが許されないんです。現在でも厳格なヒンドゥー教の家庭ではこの光景がみられるそうです。

他には、死や血などの不浄に対して異常な嫌悪感を抱きます。なので、血を扱う仕事(出産、死体処理など)をする人たちをヴァルナの枠外である不可触民(ダリット)として差別したのでしょう。

ヒンドゥー教の女性蔑視と不浄への嫌悪
グシャケン
グシャケン

他にも右手は「浄」、左手が「不浄」など、さまざまな特徴がヒンドゥー教にはあります。

一度調べて自分でまとめたりするとさらに理解が深まるでしょう。

このようにヒンドゥー教は特定の教義や聖典がなく、日々の生活や習慣全般に関わる宗教として現在でもインドで多くの人(約10億人)が信仰しています。

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まとめ

MQ:グプタ朝のもとで定着したヒンドゥー教はどんな特徴があるのか?

A:バラモン教が民間信仰などの文化や習慣を吸収してできた多神教であり、特に聖典などはなく、日々の生活全般に関わる宗教であるのが特徴。

グシャケン
グシャケン

今回はこのような内容でした。

次回はヒンドゥー教にもとづくインド古典文化が黄金期を迎えます。一体どんなものが生まれ、それまでとどう違うのか、一緒にみてきましょう!

それではお楽しみに!

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!

「愚者は経験から学び、賢者は歴史に学ぶ。」by ビスマルク

この記事で使用した授業スライドのダウンロードはこちら↓

グシャケン
グシャケン

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主な参考文献

『世界史の窓』世界史の窓 (y-history.net)

・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男・橋場 弦(2022)、『詳説世界史探究』、山川出版社

・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男(2017) 、『詳説世界史研究』、山川出版社

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