広告

[5-1.5]イスラーム文化①(信仰)

5-1.イスラーム教の誕生と拡大

世界史を手軽に学びたい方に向けて授業形式でブログ記事を書いています。復習や予習の際に使いやすい内容になっています。「問い」の設定や記事の最後には使用したパワポもダウンロードできます!それではスタンダード世界史探究をどうぞ!※あくまで1例なので、「MQ」や「SQ」、スライド等は自由にアレンジしてください。

広告

はじめに

グシャケン
グシャケン

前回はこのような内容でした。

グシャケン
グシャケン

今回はイスラーム文化についてみていきます。イスラーム文化にはどんな特徴があるのでしょうか?

それでは一緒にみていきましょう!

MQ:イスラーム信仰にはどんな特徴があるのか?

今回の時代はここ!

広告

信仰

アッバース朝時代のもとで、インド、イラン、ギリシアなどの文化がイスラーム信仰と融合していろいろな学問が発展しました。

学問が発展する一方、イスラーム教の信仰に対する関心もこの時代に高まりました。

特にイスラーム教の聖典である『コーラン(クルアーン)』やムハンマドの言動についての伝承(ハディース)を扱う学問が発達します。

広告

『コーラン(クルアーン)』

イスラーム教の聖典であるコーラン(クルアーン)』は、預言者ムハンマドが神からくだされた言葉を彼の死後にまとめたものになります。

『コーラン』 資料:『詳説世界史研究』山川出版社

この聖典で最も重要な教義は、

「アッラー以外に神はなく、ムハンマドはその使徒である。」

ということで、唯一神であるアッラーに絶対服従することが信徒に求められています。

加えて、預言者であるムハンマドですが、彼はあくまでも信仰対象ではないので、聖典でも「ただの人」ということが強調されているようです。

イスラーム教は民族に関係なく、信徒であれば同胞として扱われるので、「普遍宗教」と考えられています。

この『コーラン』は信仰だけでなく、政治や文化などの全ての生活に及ぶと考えられています。

『コーラン』
グシャケン
グシャケン

ちなみにアッラーはアラビア語で言葉を授けたので、アラビア語以外で翻訳されたものは『コーラン』として認められないそうです。

広告

伝承(ハディース)

この伝承(ハディース)とは、ムハンマドの生前での言動をまとめたもので、『コーラン』よりも後に書物にまとめられています。

基本的には『コーラン』で不足する部分をムハンマドが補ったのがハディースというイメージですね。

特に婚姻や契約などの社会生活のルールについてムハンマドが言ったことは、後にイスラーム教徒が守るべき法として機能するようになっていきます。

このハディースの編集で知られているのはタバリーという人物で、9世紀に活躍したイラン系の神学者でした。

彼はアラビア語では初となる通史『預言者たちと諸王の歴史』を書いて、これが後の歴史家たちの教科書的存在になりました。

グシャケン
グシャケン

タバリーは7歳で『コーラン』を暗記して、9歳でハディースを自由に書くことができたそうですよ。

今でいうギフテッドだったんですかね。

伝承(ハディース)
広告

イスラーム法(シャリーア)

コーラン』やハディースの研究が進むにつれて、それらを合わせたイスラーム教徒が守るべき規範(ルール)がイスラーム法学者(ウラマー)たちによって出来上がっていきました。

それらの規範(ルール)のことをイスラーム法(シャリーア)といいます。

イスラーム法の内容は大きくわけて次の2つに分けられます。

イスラーム法(シャリーア)の内容

「儀礼的規範」・・・礼拝、断食、巡礼などに関する内容

「法的規範」・・・婚姻、相続、刑罰などに関する内容

この中には税金や戦争などに関する政治の基本も示されています。

イスラーム法(シャリーア)の拘束力にも段階があり、以下のようになっています。

イスラーム法(シャリーア)の拘束力

・絶対禁止・・・「ハラーム」

・しないほうがよい・・・「マクルーフ」

・どちらでもよい・・・「ムバーフ」

・絶対義務・・・「ファルド・ワージブ」

・努力義務・・・「マンドゥーブ」

グシャケン
グシャケン

この中で「しないほうがよい、したほうがよい、どちらでもよい」のような“ゆるい”部分の法が一番多いようで、イスラーム教徒のひとたちは自分たちの自由な判断でわりとのびのびとした生活を送っているそうですよ。

なんかイメージと違った人も多かったのでは?

イスラーム法(シャリーア)

そんな“ゆるい”部分があるイスラーム法ですが、「飲酒」と「豚肉食」はハラーム(絶対禁止)とされているんです。

他にもイスラム式に処理されていない肉も食べてはならず、生活に深く関わっている部分もあります。

●なぜ「飲酒」と「豚肉食」が禁止なのか?

理由は以下の通りとされています。

「飲酒」

イスラーム教成立以前から、ユダヤ教徒やキリスト教徒によってアラビア半島にもちこまれ、メッカなどで、酒による弊害が社会問題になっていたそうです。

酔っ払いや二日酔いでまともに働けないとか、、、

『コーラン』では、酒を厳しく禁止していたわけではないのですが、アッラー(神)を忘れがちになるから、避けた方がよいとされているそうです。

「豚肉食」

豚は皮膚呼吸ができないので、乾燥地帯のアラビア半島では自分の糞尿を体にこすり付けて体温調節をしていたことから不潔な動物とされていました。

加えて、豚肉が原因で感染症がアラビア半島で流行したことで豚肉食が禁止されたといわれています。

しかし、旅に出て、食べるものが豚肉しかないというようなときは、それはムバーフ(どちらでもよい)として許されるそうです。

どんな場合も“生きること”が一番大切だということですね。

一部引用:イスラーム法/シャリーア (y-history.net)  

グシャケン
グシャケン

日本を旅行するイスラーム教徒は「とんかつ」などの衣に覆われている豚肉料理を豚肉とは知らず食べてしまうことがあるそうです。

もしイスラーム教徒の方を案内する機会があれば注意しましょう。

●ハラルフード

世界に15億人以上もいるとされるイスラーム教徒。

そんなイスラーム教徒のために、いま日本でも「ハラルフード」のお店が増えているんです。

「ハラルフード」とは、イスラーム教徒が食べてもいい料理のことです。

食材や調理方法をイスラーム教の教えに即した料理を提供するお店には「ハラル認証」といって、専門機関がハラルであることを保障する制度などもあるんです。

ハラル認証マーク ハラール(ハラル)食品とは – 株式会社あんしん壱番 (ansin-ichiban.com)
グシャケン
グシャケン

日本には、東京などに日本食を提供するハラル認証店もあります。

ぜひ近所でもハラル認証店を探してみてください。

広告

六信五行

イスラーム法(シャリーア)が整備されていき、イスラーム教徒の信仰や行為の内容が後に六信五行(ろくしんごぎょう)としてまとめられていきました。

「六信」とは6つの信仰すべきことで、「五行」とは信仰する上での5つの義務のことを指します。

六信五行

六信

①アッラー(神)・・・唯一で絶対の神。

天使・・・神の命令の実行役(ガブリエルなど)。

④預言者たち・・・モーセ、イエス、ムハンマド。

⑥神の予定・・・人の運命は神によって決められていること。

六信

五行

①信仰告白・・・信徒として「アッラーのほかは神はない、ムハンマドはその使徒である。」を告白すること。

②礼拝・・・1日に5回、決まった作法で神に祈りを捧げること。礼拝所をモスクという。

③喜捨(きしゃ)・・・自分の財産を貧しい人に分け与えること。

④断食・・・1年に1か月間(ラマダーン)、病人、旅人、子供などをのぞき、日の出から日没まで断食して禁欲すること。

グシャケン
グシャケン

断食すると当然お腹がすくので、日没前から食堂には長蛇の列ができ、家庭でも豪勢な食事が振舞われるそうです。

なので、断食の期間で逆に太ってしまう人も多いそうです。すきっ腹状態で夜にドカ食いすれば血糖値の上がり方がすごそうですね。(笑)

⑤メッカ巡礼・・・一生に一度は聖地メッカのカーバ神殿を訪れること。

五行
広告

まとめ

MQ:イスラーム信仰にはどんな特徴があるのか?

A:『コーラン』を基本とし、それを補足した伝承(ハディース)などを含めたイスラーム法(シャリーア)に従って信徒の生活や政治がおこなわれている。しかし、曖昧な部分も多く自由な判断で生活している信徒が多い。

グシャケン
グシャケン

今回はこのような内容でした。

次回はイスラーム文化の2回目で「学問、文学、建築、美術」をみていきます。イスラーム文化のまとめとして、イスラーム文化はどのように成立してどんな特徴があるのか?

それでは次回もお楽しみに!

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!

「愚者は経験から学び、賢者は歴史に学ぶ。」by ビスマルク

この記事で使用した授業スライドのダウンロードはこちら↓

主な参考文献

『世界史の窓』世界史の窓 (y-history.net)

・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男・橋場 弦(2022)、『詳説世界史探究』、山川出版社

・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男(2017) 、『詳説世界史研究』、山川出版社

コメント

タイトルとURLをコピーしました