この記事で使用したPowerPointスライドは「note」にてダウンロード可能です。PowerPointスライドのダウンロードは記事の最後に貼ってあるURLから!それではスタンダード世界史探究をどうぞ!
はじめに
前回はこのような内容でした。
今回はイスラーム文化についてみていきます。イスラーム文化にはどんな特徴があるのでしょうか?
それでは一緒にみていきましょう!
MQ:イスラーム信仰にはどんな特徴があるのか?
今回の時代はここ!
信仰
アッバース朝時代のもとで、インド、イラン、ギリシアなどの文化がイスラーム信仰と融合していろいろな学問が発展しました。
学問が発展する一方、イスラーム教の信仰に対する関心もこの時代に高まりました。
特にイスラーム教の聖典である『コーラン(クルアーン)』やムハンマドの言動についての伝承(ハディース)を扱う学問が発達します。
『コーラン(クルアーン)』
イスラーム教の聖典である『コーラン(クルアーン)』は、預言者ムハンマドが神からくだされた言葉を彼の死後にまとめたものになります。
この聖典で最も重要な教義は、
「アッラー以外に神はなく、ムハンマドはその使徒である。」
ということで、唯一神であるアッラーに絶対服従することが信徒に求められています。
加えて、預言者であるムハンマドですが、彼はあくまでも信仰対象ではないので、聖典でも「ただの人」ということが強調されているようです。
この「神に絶対服従すること」をイスラームと呼ぶことからイスラーム教と呼ばれるようになったことは以前にも触れましたね。
イスラーム教は民族に関係なく、信徒であれば同胞として扱われるので、「普遍宗教」と考えられています。
この『コーラン』は信仰だけでなく、政治や文化などの全ての生活に及ぶと考えられています。
ちなみにアッラーはアラビア語で言葉を授けたので、アラビア語以外で翻訳されたものは『コーラン』として認められないそうです。
伝承(ハディース)
この伝承(ハディース)とは、ムハンマドの生前での言動をまとめたもので、『コーラン』よりも後に書物にまとめられています。
基本的には『コーラン』で不足する部分をムハンマドが補ったのがハディースというイメージですね。
特に婚姻や契約などの社会生活のルールについてムハンマドが言ったことは、後にイスラーム教徒が守るべき法として機能するようになっていきます。
このハディースの編集で知られているのはタバリーという人物で、9世紀に活躍したイラン系の神学者でした。
彼はアラビア語では初となる通史『預言者たちと諸王の歴史』を書いて、これが後の歴史家たちの教科書的存在になりました。
タバリーは7歳で『コーラン』を暗記して、9歳でハディースを自由に書くことができたそうですよ。
今でいうギフテッドだったんですかね。
イスラーム法(シャリーア)
『コーラン』やハディースの研究が進むにつれて、それらを合わせたイスラーム教徒が守るべき規範(ルール)がイスラーム法学者(ウラマー)たちによって出来上がっていきました。
それらの規範(ルール)のことをイスラーム法(シャリーア)といいます。
イスラーム法の内容は大きくわけて次の2つに分けられます。
「儀礼的規範」・・・礼拝、断食、巡礼などに関する内容
「法的規範」・・・婚姻、相続、刑罰などに関する内容
この中には税金や戦争などに関する政治の基本も示されています。
イスラーム法(シャリーア)の拘束力にも段階があり、以下のようになっています。
・絶対禁止・・・「ハラーム」
・しないほうがよい・・・「マクルーフ」
・どちらでもよい・・・「ムバーフ」
・絶対義務・・・「ファルド・ワージブ」
・努力義務・・・「マンドゥーブ」
この中で「しないほうがよい、したほうがよい、どちらでもよい」のような“ゆるい”部分の法が一番多いようで、イスラーム教徒のひとたちは自分たちの自由な判断でわりとのびのびとした生活を送っているそうですよ。
なんかイメージと違った人も多かったのでは?
そんな“ゆるい”部分があるイスラーム法ですが、「飲酒」と「豚肉食」はハラーム(絶対禁止)とされているんです。
他にもイスラム式に処理されていない肉も食べてはならず、生活に深く関わっている部分もあります。
六信五行
イスラーム法(シャリーア)が整備されていき、イスラーム教徒の信仰や行為の内容が後に六信五行(ろくしんごぎょう)としてまとめられていきました。
「六信」とは6つの信仰すべきことで、「五行」とは信仰する上での5つの義務のことを指します。
六信
①アッラー(神)・・・唯一で絶対の神。
②天使・・・神の命令の実行役(ガブリエルなど)。
③各種の啓典・・・『コーラン』だけではなく、『旧約聖書』と『新約聖書』も含む。
④預言者たち・・・モーセ、イエス、ムハンマド。
⑤来世・・・天変地異によって現世が終わる際に、神による「最後の審判」をうける。
⑥神の予定・・・人の運命は神によって決められていること。
五行
①信仰告白・・・信徒として「アッラーのほかは神はない、ムハンマドはその使徒である。」を告白すること。
②礼拝・・・1日に5回、決まった作法で神に祈りを捧げること。礼拝所をモスクという。
③喜捨(きしゃ)・・・自分の財産を貧しい人に分け与えること。
④断食・・・1年に1か月間(ラマダーン)、病人、旅人、子供などをのぞき、日の出から日没まで断食して禁欲すること。
断食すると当然お腹がすくので、日没前から食堂には長蛇の列ができ、家庭でも豪勢な食事が振舞われるそうです。
なので、断食の期間で逆に太ってしまう人も多いそうです。すきっ腹状態で夜にドカ食いすれば血糖値の上がり方がすごそうですね。(笑)
⑤メッカ巡礼・・・一生に一度は聖地メッカのカーバ神殿を訪れること。
まとめ
MQ:イスラーム信仰にはどんな特徴があるのか?
A:『コーラン』を基本とし、それを補足した伝承(ハディース)などを含めたイスラーム法(シャリーア)に従って信徒の生活や政治がおこなわれている。しかし、曖昧な部分も多く自由な判断で生活している信徒が多い。
今回はこのような内容でした。
次回はイスラーム文化の2回目で「学問、文学、建築、美術」をみていきます。イスラーム文化のまとめとして、イスラーム文化はどのように成立してどんな特徴があるのか?
それでは次回もお楽しみに!
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!
「愚者は経験から学び、賢者は歴史に学ぶ。」by ビスマルク
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