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[5-2.11]ヨーロッパの封建社会①(封建的主従関係)

5-2.ヨーロッパの発展

世界史を手軽に学びたい方に向けて授業形式でブログ記事を書いています。復習や予習の際に使いやすい内容になっています。「問い」の設定や記事の最後には使用したパワポもダウンロードできます!それではスタンダード世界史探究をどうぞ!※あくまで1例なので、「MQ」や「SQ」、スライド等は自由にアレンジしてください。

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はじめに

グシャケン
グシャケン

前回はこのような内容でした。

グシャケン
グシャケン

今回はヨーロッパ世界特有の封建制度についてです。封建社会とはいったいどんな制度だったんでしょうか。

それでは一緒にみていきましょう!

MQ:ヨーロッパの封建的主従関係の特徴とは?

今回の時代はここ!

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封建社会とは?

まず封建社会の意味ですが、結果からいうと、

封建社会 = 封建的主従関係 + 荘園

ということが言えます。

グシャケン
グシャケン

これだけだとまださっぱりですよね。(笑)

これから順番に説明していきますね。

まずは「封建」とは何かというところからです。簡単にいうと、

封建

主君が家臣に土地を与える代わりに家臣が主君に忠誠を誓うこと

という意味があります。

SQ:なぜヨーロッパで封建制が出現したのか?

では、なぜヨーロッパでこのような封建制が出現したんでしょうか?

ヨーロッパではその環境から[5-2.2]ゲルマン人の大移動[5-2.10]ノルマン人の台頭など、民族大移動が断続的に起きたことで、長期間に渡って混乱が起きました。

その外部勢力の侵入(民族大移動)によって都市が荒廃してしまい、まともに商売(商業)する状況ではなく、衰退してしまっていました。

なので、ヨーロッパの人々は生き延びるために自然と都市から離れた土地で、農業に依存するようになります。

しかも、常に外部勢力(民族大移動)の侵入から命や財産を守るために、自分で身を守れない人(土地を持たない人)は有力者(土地を持っている人)のもとに保護を求めました。

要は、

社会的弱者
社会的弱者

なんでもやるんで、この土地でかくまってください。

みたいな感じです。

これによってできた制度が「封建制」であり、ヨーロッパ特有の「封建社会」になっていきます。

SQ:なぜヨーロッパで封建制が出現したのか?

民族大移動による外部勢力の侵入から命や財産を守るために、自分で身を守れない人々が有力者(土地所有者)のもとに保護を求めたことで出現した。

封建社会 封建的主従関係 荘園
グシャケン
グシャケン

ではここからは封建社会を構成する「封建的主従関係」と「荘園」についてみていきましょう。

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封建的主従関係

封建的主従関係とは?

さきほど、封建制のところで社会的弱者が有力者(土地所有者)に保護を求めたと説明しましたが、逆を言うと、有力者たちも自分の身の安全や地位を守るために、持っている土地を利用しようと考えていたんです。

ここでの主な有力者とは大きく以下のものに分かれます。

皇帝、国王・・・国家または帝国を統治。有力な大諸侯であることが多い。

諸侯(大貴族)・・・皇帝や国王の臣下。広大な土地を所有する領主であり、多くの騎士や農奴を抱えている。

騎士(小貴族)・・・諸侯(領主)から土地を与えられた臣下。戦士として軍事的奉公をおこなう。所有する土地に農奴を抱えている。

・聖職者・・・ローマ=カトリック教会で宗教儀式をとり行い、信徒の指導を担当。皇帝や国王から土地を寄進されて領主とし

これらの有力者(主君)たちが、家臣(諸侯や騎士)に土地を与えて保護し、その代わりに家臣は主君に忠誠を誓って何かあった時に主君のために軍事的奉仕をする義務を課す関係が出来上がりました。

グシャケン
グシャケン

要は持ちつ持たれつの関係ですね。

この関係は最大の領主である皇帝や国王が有力な家臣を諸侯として土地を与え、諸侯もそれぞれ騎士などの家臣を持ち、その騎士たちも下級の家臣と主従関係を結んでいるという階層的な仕組みになっていました。

グシャケン
グシャケン

ロシア人形のマトリョーシカみたいですね。

このような主従関係の仕組み封建的主従関係と言います。

この関係は主君と家臣の個人契約で成り立っていて、契約を結ぶ際には叙任式(じょにんしき)という儀式をおこなっていました。

叙任・・・宗教や公職において役職に正式に任命すること。

グシャケン
グシャケン

家臣が忠誠を誓う一方で、主君は家臣に剣を授けることで主従関係を象徴する儀式が行われていました。

騎士の叙任式

初めこの制度は個人ごとの契約でしたが、次第に世襲化していくことになります。

封建的主従関係 騎士

双務的契約

次にヨーロッパの封建的主従関係の特徴をみていきますが、まずは当時の主君と家臣の関係性からみていきましょう。

SQ:以下の史料から主君と家臣はどんな関係性だったのか?

資料:『詳説世界史探究』山川出版社

ここで注目すべきポイントは、以下の部分です。

主君である貴族イワンに対し、家臣である伯ギョームが、

ギョーム伯
ギョーム伯

では、余(私)は、汝(あなた、主君)が余(私)に対しおこなっていた臣従礼を破棄し、汝(あなた、主君)と対等になり・・・

臣従礼・・・封建的主従関係を結ぶ際の儀礼

というのに対し、主君の貴族イワンの使者が、

貴族イワンの使者
貴族イワンの使者

今まで彼ら(主君)があなたに対して侵すことなく守ってきた臣従礼を、ただちにわれわれを通じて破棄します。

という返しをしています。

グシャケン
グシャケン

この会話の一部を聞いて、当時の主君と家臣の関係性をどのように感じましたか?

なんだか家臣の契約破棄を主君側があっさり受け入れいれてドライだなという感じがします。

グシャケン
グシャケン

そうですよね。ヨーロッパの封建的主従関係は家臣だけではなく、主君も契約を守る義務があり、それを違反すると家臣は服従を拒否することができたんです。

このようにヨーロッパで封建的主従関係において、主君と家臣の両方が契約を守らなければいけないことを双務的契約といいます。

この双務的契約がヨーロッパの封建的主従関係の特徴なんです。

まず、この「双務的」というのは「お互いに」という意味で、上記したように「主君と家臣の両方が守る義務を負う。」という内容が含まれています。

なので、契約自体も主君と家臣の両方に利益がある場合に結ばれるということになりますね。

どちらかの利害が損なわれた時には、上記のように家臣側からも契約の破棄をすることができます。

しかも主従関係は一対一ではなく、1人の家臣が複数の主君と契約することもあったそうです。

グシャケン
グシャケン

日本古来の1人の主君に尽くすという美徳とはちがい、ヨーロッパではドライな関係だったんですね。

SQ:以下の史料から主君と家臣はどんな関係性だったのか?

双務的契約と呼ばれる家臣だけでなく、主君も契約を守らなければいけない双務的契約に基づく関係性だった。

双務的契約
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恩貸地制度と従士制

このヨーロッパ特有の封建的主従関係は、大きくローマ時代の恩貸地制度ゲルマン人社会の従士制が基となってできた制度でした。

グシャケン
グシャケン

ではこの「恩貸地制度」と「従士制」がどんな制度だったのかをみていきましょう。

恩貸地制度

恩貸地制度(おんたいちせいど)とはローマ帝国でおこなわれた制度のことです。

ローマ帝国についてはこちら!

土地所有者が自分の土地を有力者に献上して保護下に入り、改めて有力者からその土地を貸し出す形でもらう制度のことをいいます。

グシャケン
グシャケン

土地を献上することで有力者に身の安全を守ってもらい、有力者は土地の所有権を持つことで財力、軍力の強化ができるという関係性でした。

ローマ帝国も異民族の侵入が頻発していたので、そういった事情からできた制度だったんでしょうね。

従士制

従士制(じゅうしせい)とは、ゲルマン人社会で採られた主従関係のことを指します。

この従士制は、貴族や自由民の子弟(してい)が、有力者に忠誠を誓って従者(じゅうしゃ)となり、そのかわりに有力者は衣食を保障するという制度でした。

従者・・・主君や雇用者に仕える「忠実な補佐役」のこと。

グシャケン
グシャケン

ただし、有力者が保障したのは馬の支給や衣服や食糧のみで、土地自体は与えられたわけではありませんでした。

封建的主従関係と大諸侯の出現

ヨーロッパではフランク王国が分裂後、王権が弱体化し、[5-2.10]ノルマン人の台頭などから自分たちだけで身を守る必要が出てきました。

なのでフランク王国分裂後に、この恩貸地制と従士制が組み合わさって封建的主従関係としてヨーロッパに広がっていったわけなんです。

そして、その制度のもと広大な土地と多くの家臣を抱える主君は諸侯となって各地に有力諸侯が出現するようになります。

この封建的主従関係は主君と家臣の個人間の契約で成り立っていたので、自然と諸侯ごとに独自の統治・経営がおこなわれて1つの王国といえど中身は地方分権的な支配体制になっていました。

なので、国王が直接統治できたのは自分の領地だけだったので、多くの騎士戦士階級小貴族を家臣に持っている大諸侯は国王に並ぶ権力を持っていました。

グシャケン
グシャケン

国王も1人の大諸侯に過ぎなかったというわけですね。

日本でいうと江戸時代の徳川将軍家とその他の藩みたな関係性と似ていますね。

封建的主従関係 大諸侯
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まとめ

MQ:ヨーロッパの封建的主従関係の特徴とは?

A:外部勢力の侵入が激しかったことから、有力者(国王や諸侯など)が君主として家臣(騎士など)に土地を与えて、家臣は君主に軍事的奉公などの忠誠を誓う封建的主従関係が出来上がった。これにはお互いに契約を守る義務を負う双務的契約があり、家臣も場合によって主君への服従を拒否するなどの権利があった。

グシャケン
グシャケン

今回はこのような内容でした。

次回は「ヨーロッパの封建社会」の2回目として特徴でもある“荘園”についてみていきます。他文明と比べてヨーロッパの封建制度はどのような違いがあるんでしょうか。

それでは次回もお楽しみに!

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!

「愚者は経験から学び、賢者は歴史に学ぶ。」by ビスマルク

この記事で使用した授業スライドのダウンロードはこちら↓

主な参考文献

『世界史の窓』世界史の窓 (y-history.net)

・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男・橋場 弦(2022)、『詳説世界史探究』、山川出版社

・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男(2017) 、『詳説世界史研究』、山川出版社

グシャケン
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