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[5-2.12]ヨーロッパの封建社会②(荘園)

5-2.ヨーロッパの発展

世界史を手軽に学びたい方に向けて授業形式でブログ記事を書いています。復習や予習の際に使いやすい内容になっています。「問い」の設定や記事の最後には使用したPowerPointスライドもダウンロードできます!それではスタンダード世界史探究をどうぞ!

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はじめに

グシャケン
グシャケン

前回はこのような内容でした。

グシャケン
グシャケン

今回はヨーロッパの封建社会のまとめでもある荘園制についてです。ヨーロッパの封建社会の特性とはいったにどんなものだったんでしょうか?

それでは一緒にみていきましょう!

MQ:ヨーロッパの封建社会の特性とは?

今回の時代はここ!

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荘園とは?

前回の[5-2.11]ヨーロッパの封建社会①(封建的主従関係)で、封建的主従関係を結んでいる有力者(主君)たちは、それぞれ土地を所有していて、農民たちを支配しながら経営する領主という立場でした。

こういった領主が経営している私有地を荘園といいます。

グシャケン
グシャケン

荘園には時代によって主に2つの種類がありました。

古典荘園

・8~9世紀に出現

・領主が土地を直接経営し、農民を保護する代わりに労働を強いる(賦役労働)やり方。

純粋荘園

・12~13世紀に出現

・領主が土地を農民に貸し出して、生産物または売買して手に入れた貨幣を納めさせるやり方。

荘園、領主
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荘園の仕組み

荘園の構成

荘園には1つの村落が存在して、それを中心に主に3つの構成から成っていました。

領主直営地・・・領主が直接保有している土地。家臣が増えるにつれて荘園内に複数の領主が存在するように。

農民保有地・・・領主に貸し出された土地。ここで農業や居住をおこなった。

共同利用地・・・牧草地や森など、領主や家臣、農民などが共同で利用する土地

荘園の構造 領主直営地 農民保有地 共同利用地
荘園の構造 概念

農奴

領主の土地、あるいは貸し出された土地を耕作する農民は、荘園内の村落に縛られて領主に支配される農奴と呼ばれる不自由な身分でした。

農奴はローマ帝政期のコロヌスや、没落したゲルマン人農民の子孫が多く、ヨーロッパの長い混乱で領主に保護を求めた人々が始まりでした。

彼らは騎士などの家臣とは別で移動の自由がありませんでした。

農奴は主に、領主直営地で労働を強いられる賦役や、自分の保有地で得た生産物を納める貢納の義務を領主に負っていました。

しかも賦役や貢納以外にも、結婚税や死亡税、教会へ納める十分の一パンを焼くためのかまどや水車などの使用料も領主に支払っていました。

おまけに荘園内では領主が裁決できる領主裁判権が適用されたので、農奴は荘園内で領主に対して圧倒的に不利な立場にあったんです。

グシャケン
グシャケン

農奴とは「農民奴隷」と書いて「農奴」ですが、家族をもつことが許されていましたし、身の回りの生産用具や多少の保有地をもつことはできたので、その点では古代の奴隷とは少し違いますね。

ちなみに荘園には農奴以外にも手工業者も住んでいて、自足自給の現物経済が基本になっていました。

現物経済・・・物々交換で成り立つ経済

農奴 賦役 貢納 現物経済
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不輸不入権(インムニテート)

荘園では領主の権限が大きかったんですが、他にも不輸不入権(インムニテート)と呼ばれる特権も持っていました。

これは領主が保有している荘園には、課税がされず(不輸)、国王の役人も入ることができないない(不入)という特権です。

SQ:なぜ不輸不入権が認められていたのか?

ではなぜこのような特権が存在していたんでしょうか?

西ヨーロッパの王国の多くは、もともとは諸侯たちが群雄割拠していて、身を守るために有力諸侯を国王にして結束し合う連合国家が特徴でしたよね。

なので国王も大諸侯の一つに過ぎず、直接統治できるのも限定的でした。

なので、あくまで国家は有力諸侯連合チームとして成立していたので、もともと荘園領主(諸侯、騎士、教会など)たちが保有していた領土はそのままそれぞれ統治している状態だったんです。

当然、領主たちは荘園での利益や特権を永遠に守りたいと思っているので、

荘園領主
荘園領主

国王であろうとお互いに荘園に介入するのはやめましょう

という運びになったわけなんです。

この権利を通じて、領主は荘園内の商売やモノの流通を管理して、安定した収入を得ることが可能になりました。

グシャケン
グシャケン

一応、この制度のおかげで荘園で生産された農産物や手工業品を外に出さないことで、荘園内の経済の安定には貢献していました。

このように不輸不入権は、封建社会という閉ざされた環境で領主と農民の関係を強化し、領主の権力を維持するための手段として機能しました。

SQ:なぜ不輸不入権が認められていたのか?

国王も含めた荘園領主が保有している荘園での経済と権力を安定させるため。

不輸不入権(インムニテート)
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封建社会とは?

このように荘園を経済的基盤とした領主が封建的主従関係による複雑な階層組織をもつことで形成されたのが封建社会と呼ばれるものです。

この封建社会は11~12世紀ごろに成立して、西ヨーロッパ中世世界の土台になっていきました。

グシャケン
グシャケン

ただし、ヨーロッパのすべてがこの封建社会だったわけではなく、なかには農奴は違って領主から強い支配を受けない自由農民が土地を保有している地域もありました。

封建社会とは?
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まとめ

MQ:ヨーロッパの封建社会の特性とは?

A:荘園を経済的基盤とした領主が、封建的主従関係による複雑な階層組織をもつことで形成された社会

グシャケン
グシャケン

今回はこのような内容でした。

次回はイスラーム教の続編についてやっていきます。イスラーム化が各地にもたらした影響とはいったいどんなものだったのか。

それでは次回もお楽しみに!

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!

「愚者は経験から学び、賢者は歴史に学ぶ。」by ビスマルク

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グシャケン
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主な参考文献

『世界史の窓』世界史の窓 (y-history.net)

・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男・橋場 弦(2022)、『詳説世界史探究』、山川出版社

・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男(2017) 、『詳説世界史研究』、山川出版社

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