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[11-6.2]科学革命②(哲学・法学)

11-6.科学革命、啓蒙思想

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はじめに

グシャケン
グシャケン

前回はこのような内容でした。

グシャケン
グシャケン

今回は科学革命の「哲学」と「法学」についてです。科学革命は哲学や法学の考え方をどのように変えたんでしょうか?

それでは一緒にみていきましょう!

MQ:科学革命は「哲学」や「法学」の考え方をどのように変えたのか?

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自然科学の思考法

前回の[11-6.1]科学革命①(近代科学の始まり)で科学革命が起こったことで、自然科学では 「まず自然をよく観察し、実験を行って法則を見つけ、その法則が本当に正しいかをもう一度実験で確かめる」 という研究の進め方が定着しました。

つまり、思い込みや権威に頼るのではなく、見て、試して、確かめる」ことを繰り返す方法が、科学の基本になったんです。

そして、この研究の進め方で出てきた2つの考え方が「帰納法」と「演繹法というものでした。

帰納法と演繹法

帰納法

まず、帰納法とはイギリスのフランシス=ベーコンが提唱した思考法のことを指します。

グシャケン
グシャケン

フランシス=ベーコンはジェームズ1世の側近として活躍したエリート議員でした。

フランシス=ベーコン
帰納法

観察を繰り返して、その共通点から一般的な法則を導く考え方

グシャケン
グシャケン

言っていることは難しいですが、実は日常生活でも無意識に使われているんですよ。

手順は以下の通りです。

①観察を繰り返す。 [例:鉄や銅は熱で膨張する。」

②規則性や共通点を見つける。 [例:鉄や銅は金属である。]

③一般的な結論や仮説を立てる。 [例:金属は熱で膨張する。]

自然科学では、このフランシス=ベーコンが提唱した帰納法が、新しい法則や理論を生み出す原動力になっていきました。

帰納法 フランシス=ベーコン

演繹法

一方、演繹法とはフランスのデカルトによって提唱された思考法でした。

デカルト
演繹法

一般的な原理から個別の結論を論理的に導く考え方

グシャケン
グシャケン

これも難しいですが、「もとになるルールが正しければ、そこから出てくる答えも間違いない」ということです。

手順は以下の通り。

①一般的な原理・法則を設定する。 [例:すべて金属は熱で膨張する。」

②論理的な推論を立てる [例:鉄や銅は金属である。]

③個別の結論を導く。 [例:鉄や銅は熱で膨張する

自然科学では、このデカルトの演繹法は、理論を検証して、未知の現象を予測するために使われました。

グシャケン
グシャケン

ニュートンは、運動の法則という一般原理から、惑星の運動や落体の動きを説明するという演繹法によって、それらを予測していました。

演繹法 デカルト
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哲学

科学革命の影響

これらの考え方で進められた科学革命では、ガリレイやニュートンなど、天文学や物理学を発展させた科学者たちが登場して活躍しました。

繰り返しになりますが、この科学革命によって、

自然界=神や伝統によって支配されていて、人間には理由を理解できないもの

科学革命

自然界=一定の法則に従って動く、筋の通った世界

という考え方が生まれましたよね。

グシャケン
グシャケン

天体の運動や物体の落下、光の性質などを観察と計算によって説明できるものだと考えられるようになったんです。

しかし、この科学革命は単なる「科学技術の進歩」だけではなく

人間が考え出したものは、本当に正しく理解できてるの?

という哲学の考え方にも影響を与えることになりました。

科学革命の哲学への影響

科学の進歩には1つの前提条件として、

「人間が見たり考えたりして理解したことは、全て正しいこと」というものがありました。

もしも、人間が見たり考えたりしたことが実際と違っていたら、どれだけ精密な観測や計算をしても、自然法則を正しく理解することなんて無理ですよね。

なので、科学革命が進展するためには、「人間の目や頭で考えたことは、自然のしくみを正しく理解している」と信じられる根拠が必要になったんです。

科学革命の哲学への影響

合理主義

デカルト

そして、この根拠を与えた人が、先ほど演繹法を提唱したフランスのデカルトだったんです。

デカルトの「我思う、ゆえに我あり」という言葉が有名ですが、この言葉は、彼の考え方を象徴している言葉でした。

デカルトは、自然の真理が確実だと証明するため「いったんすべてを疑う」という方法をとりました。

デカルト
デカルト

私(人間)の感覚は錯覚するかもしれないし、伝統や権威も間違っているかもしれない。だから全てを疑って考え直してみよう。

しかし、それでも唯一疑えなかったのが、「今、頭で考えている自分が確かに存在している。我思う、ゆえに我あり)」ということでした。

こうして、デカルトは「頭ではっきりと理解できて、疑えないほど確かなものだけを真実として認める」と結論づけました。

グシャケン
グシャケン

要は、「頭で理解できることが真実だ」ということです。

しかも、これは全能の神によって人間に生まれつき与えられたものなので、正しく使うことができれば間違えることはないとも考えました。

こうしてデカルトによって成立したのが、人間の考える力(理性)は全てを理屈で解明できるとする“合理主義というものでした。

グシャケン
グシャケン

これをさきほどの演繹法に当てはめるとこんな感じになります。

デカルト頭で考えて理解できたことが真実。

デカルトは人間である。

よって、全ての人間は同じように頭で考えて理解することができる。

以上のことから、人間の頭で理解できたものがこの世の真実となる。

デカルト 合理主義
古典主義
グシャケン
グシャケン

この合理主義は、自然科学だけでなく、芸術などにも影響を与えました。

芸術の世界では、合理主義によって、自然のしくみは理屈で理解できて、そこには誰が見ても同じように美しいと感じる決まりや価値があると考える「古典主義が表れました。

古典主義では、感情の激しさや個人の主観よりも、整った構成やバランスの取れた美しさが重視されました。

これには、古代ギリシアやローマの芸術が理想とされて、理性によって理解できる共通の美しさを追い求めたのが特徴でした。

グシャケン
グシャケン

だから「古典」なんですね。

古典主義

経験主義

フランシス=ベーコン

しかし、デカルトの合理主義に対して、違う立場から異議を唱えたのが、イギリスのフランシス=ベーコンでした。

イギリスでは、フランシス=ベーコンによって、上記で説明した観察と経験を積み重ねて、そこから法則を導く帰納法が提唱されていました。

なので、フランシス=ベーコンが重視したのは、頭の中で考えて理解すること(合理主義)ではなく“実際に自然の中で起きている事実そのもの”に注目しました。

要は、

ベーコン
ベーコン

「まず頭で考える」よりも、「まずは観察や経験をすること」の方が大事だろ!

と、デカルトの合理主義に異を唱えたわけなんです。

ロック

そして、このフランシス=ベーコンの考えをさらに発展させたのが、イギリスの哲学者だったロックという人物でした。

ロック

ロックは、人間は生まれたときは心が真っ白な「白紙(タブラ=ラサ)」で、知識は全てその後の経験によって獲得されると考えました。

ロックは、人間の考える力(理性)は完璧ではなくて、時に間違えることもあると定義しました。

「人間の考える力(理性)」は、生まれつき絶対に正しいものではなくどれだけ経験を積んだかによって「どのくらい確かだと言えるか」の度合いが変わるだけということを主張しました。

グシャケン
グシャケン

なので、未知の自然を解明するためには、経験して知識を獲得していく必要があるとしたんです。

このロックの考え方は経験主義”として確立されていき、合理主義と並んで近代哲学の中心になっていきました。

合理主義と経験主義の比較

観念論哲学

カント

科学革命の影響を受けた哲学は「合理主義」と「経験主義」の考え方が対立することになりましたが、この「合理主義」と「経験主義」を掛け合わそうとする試みが起きます。

それをおこなったのがドイツの哲学者だったカントという人物でした。

カント

カントは、合理主義の「理性への信頼」と、経験主義の「経験の重要性」の両方を認めたうえで、次のように考えました。

人は世界を見たままをただ受け取っているのではなく自分の考える力や感じ方を通して、あらかじめ決まった枠組みで世界を見ている

グシャケン
グシャケン

時間の感じ方とかがそうですね。楽しい時間はあっという間に過ぎ、退屈な時間は長く感じてしまいますよね。これは時計の針は同じ速さで進んでいるのに、人の意識が時間の長さを決めているんです。

ここでも、人は時間をそのまま受け取っているのではなく、心の働きを通して時間を経験していることになります。

時間や空間、原因と結果といった考え方は、自然そのものに最初からあるのではなく、人が世界を理解するために頭の中で使っている見方だということです。

このようなカントの考え方は、後にドイツで観念論哲学への道を開いていくことになります。

まとめると、カントの考え方は、「理性への信頼」を無条件に認めるのでなく理性による理解には限界があると認めたうえで、使えるところでは理性を使おうという点に大きな意義がありました。

カント 観念論哲学
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法学

自然法の確立

科学革命と哲学の発展は、法学の分野にも大きな影響を与えました。

中世までの法は、キリスト教での神の意志や慣習、君主の命令に強く依存していました。

しかし近世になると法学の世界でも「人間の考える力(理性)」が注目されるようになります。

それが、理性を持つすべての人に共通して当てはまるルール(法)を探究しようとするものでした。

この全ての人に共通して当てはまるルールを自然法と呼びます。

自然法とは、現実に制定された法(実定法)とは違い人間であれば誰にでも当てはまる自然なルールで、国や支配者が勝手に変えられるものではないと考えられました。

グシャケン
グシャケン

要は、人が人として生きるために、法律がなくても「守られるべきだ」と理性で理解できるルールのことです。

としては、何を考え、何を信じるかは本来個人の自由であるという「自由に考えて信じる権利」などが、自然法に含まれます。 国家が思想や信仰を強制することは、本来許されないとされていました。

自然法

この自然法の探究はイギリスの思想家だったホッブズらによって始められました。

ホッブズは、人間が自然状態では「万人の万人による闘争」に陥ると考え、秩序を維持するためには強力な国家権力(君主)が必要だと主張しました。

グシャケン
グシャケン

このホッブズの考え方の詳細は[11-4.3]ピューリタン革命で紹介しているので、ぜひそちらをご覧ください。

一方、先ほど登場したロックは、自然状態においても人間は理性を持ち、生命・自由・財産といった自然権を持っていると考え理不尽な統治に対する人民の抵抗権を主張しました。

グシャケン
グシャケン

このロックの考え方についても詳細は[11-4.4]名誉革命と議会政治の始まりで紹介しているので、ぜひそちらをご覧ください。

自然法の探究 ホッブス ロック

国際法:グロティウス

そして、このホッブズやロックが発展させた自然法の考え方を、国家間の関係に応用したのが、オランダのグロティウスという法学者でした。

グロティウス

グロティウスの生きた時代は、宗教対立や三十年戦争など、ヨーロッパで宗教と権力を巡って大規模な戦争が起きていた時代でした。

政治と戦争の現場を間近で見ていたグロティウスは次第に、

グロティウス
グロティウス

なぜ戦争は止まらないのか。国家は力のある限り何をしても許される存在なのか。

と思うようになっていきます。

こうした状況の中で、グロティウスが『戦争と平和の法』で主張したのが、

『戦争と平和の法』

・戦争には正当な理由が必要であること

・戦争中であっても守られるべきルールが存在すること

・国家であっても、自然法という普遍的な法に従う義務があること

という、当時としては珍しい革新的な考え方でした。

グロティウス 『戦争と平和の法』

彼はこの著書を通して、宗教や国境よりも、人間の理性によってできた自然法を基に、国家間の行動にルールを設ける国際法の必要性を訴えたんです。

グシャケン
グシャケン

要は、当時、力で支配することが当たり前だった国家に対して、「国家よりも上に法がある。」ということを主張したんです。

しかし、グロティウスが戦争自体を否定したわけではなく、戦争は避けられないものだと認識したうえで、

どのような場合に戦争が正当化されるのか?

・どこまでの行為が許され、どこからが許されないのか?

などを理性(人間の考える力)によって明確にして、戦争の被害を最小限に抑えることを目指していたんです。

グシャケン
グシャケン

このグロティウスの発想は、後の国際人道法や国際司法の基礎となり、グロティウスは「国際法の父」と呼ばれるようになりました。

グロティウス 国際法
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進歩主義

こうした科学や哲学、法学などが発展した中で、西ヨーロッパでは「古代人と現代人のどちらが優れているか」という論争が起こりました。

グシャケン
グシャケン

さまざまな自然の原理を発見してきた古代人か、それを受け取って発展させようとしている現代人かの争いですね。

結果、この論争は、

現代人派
現代人派

知識は蓄積されて進歩しているんだ!

という現代人派の勝利で終わりました。

しかし、これは単なる学問上の勝敗ではなく、人類は過去よりも現在、現在よりも未来へと進歩していくという、進歩主義が確立されたことを意味していました。

グシャケン
グシャケン

科学革命、哲学、自然法など、これらはすべて、人間の考える力(理性)が世界を理解しようとして、「さらによりよい社会を築きたい」という信念に支えられていたんですね。

進歩主義
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まとめ

MQ:科学革命は「哲学」や「法学」の考え方をどのように変えたのか?

A:「権威や神の意志に頼る考え方」から、「人間の理性と経験によって世界や社会のルールを理解して築く」という考え方へと転換させた。

グシャケン
グシャケン

今回はこのような内容でした。

次回は、啓蒙思想についてみていきます。啓蒙思想にはどんな特徴があって、どのような使い道があったんでしょうか?

それでは次回もお楽しみに!

「愚者は経験から学び、賢者は歴史に学ぶ。」by ビスマルク

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グシャケン
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