世界史を手軽に学びたい方に向けて授業形式でブログ記事を書いています。復習や予習の際に使いやすい内容になっています。「問い」の設定や記事の最後には使用したパワポもダウンロードできます!それではスタンダード世界史探究をどうぞ!※あくまで1例なので、「MQ」や「SQ」、スライド等は自由にアレンジしてください。
はじめに
前回はこのような内容でした。
今回はアテネで発展した民主政についてやっていきます。
なぜアテネでは民主政が発展したんでしょうか?
それでは一緒にみていきましょう!
MQ:なぜ貴族政から民主政に変化したのか?
今回の時代はここ!
平民の主力部隊化
SQ:なぜ平民は軍隊で主力になれたのか?
貴族が主力だった頃
ポリスでは武具などは自費購入が原則でしたよね。
なので戦争の際は、武具を購入できる貴族を中心とした騎馬戦が主流になっていました。
裕福な平民も参加していましたが、基本的には貴族による「騎馬の一騎打ち」がほとんどだったそうです。
なので。国防を担っていた貴族が政治でも発言権を持っていたんです。
貴族は国を命がけで守っている存在ですから、平民からすると守られている立場なので、発言しようものなら、
我々に守られている立場ででしゃばるな!
て、なりそうですよね。
ではそうした武器も満足に買えない平民はなんで軍隊の主力となっていったのか?
交易の活発化
ギリシアでは、鎖国的なスパルタにようなポリスもありましたが、ほとんどのポリスでは交易が盛んにおこなわれていました。
アナトリア(現在のトルコ)からリディアから貨幣が伝わると交易はさらに活発化していきました。
取引が活発になると、それに伴って利益を得る人も増えてきます。
平民の中にも農作物を売って富を得る「成金」が現れるようになりました。
富を得た平民はその資金で何ができるようになるでしょう?
これまでの内容を踏まえて考えてみてください。
武具を買って戦争に参加できるようになります!
そうですね。経済が発展するほど戦争に参加する平民は増えていきました。
そして大陸から錫(すず)や銅などの青銅の原料が輸入されるようになると、武具も安価になっていき、平民はさらに武具を買いやすくなって戦場へと赴きました。
重装歩兵とファランクス
甲冑で身を包んだ平民たちは、肩を並べて密集隊形(ファランクス)を組んだまま突撃する重装歩兵として騎馬と対抗するようになります。
映画『300』では、このファランクスを観ることができます。
しかし、作中のスパルタ戦士はみんな上半身裸ですが、実際は全身甲冑を着込んでいるのでご注意ください。
このファランクスが一般化すると、多くの歩兵が必要になったので、平民の参戦がより促進されて戦場に投入されていきました。
これによって徐々に戦闘時には、貴族の騎馬よりも多数を占める平民の重装歩兵によって勝敗を決するようになっていったため、平民が軍隊の主力となっていったわけなんです。
貴族政から民主政へ
ギリシアの各ポリスでは有力者(大土地所有)である貴族が政治を独占する貴族政がとられていました。
しかし、前7世紀頃からその貴族政から平民も含めた「民主政」へと移行していったんです。
ではいったいなぜ民主政へと移行していったのでしょうか?
貴族が政治を独占できた根拠は何でしたか?
騎馬として国防の中心を担っていたからです。
そうですね。
しかし、平民が重装歩兵として国防の中心になっていくと状況が変化していきます。
俺たちがポリスを守っているのに、貴族しか国の政治を決められないのはおかしい!
と、なってしまうのは自然ですよね。
要するに平民が国防を担うにつれて、市民の平等意識を強くなっていき、政治を独占する貴族に不満を持ち始めたんです。
ここから参政権を得たい平民と既得権益を失いたくない貴族との対立が始まり、ギリシアは貴族政から民主政へと変化していくことになります。
まとめ
MQ:なぜ貴族政から民主政に変化したのか?
A:交易の発展などにより、豊かになった平民が重装歩兵として国防に参戦できるようになり、貴族に変わって主力を担うようになっていった。そこから平民はそれまで政治を独占していた貴族に対して不満を持つようになり、対立を繰り返しながら民主政へと変化していった。
今回はこのような内容でした。
次回は、民主政ポリスへと変化していった例として「アテネ民主政」についてやっていきたいと思います。
それではお楽しみに!
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!
「愚者は経験から学び、賢者は歴史に学ぶ。」by ビスマルク
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・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男・橋場 弦(2022)、『詳説世界史探究』、山川出版社
・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男(2017) 、『詳説世界史研究』、山川出版社
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