世界史を手軽に学びたい方に向けて授業形式でブログ記事を書いています。復習や予習の際に使いやすい内容になっています。「問い」の設定や記事の最後には使用したパワポもダウンロードできます!それではスタンダード世界史探究をどうぞ!※あくまで1例なので、「MQ」や「SQ」、スライド等は自由にアレンジしてください。
はじめに
前回はこのような内容でした。
今回は以前に出てきた「ポリス」でギリシア人たちはどんな生活をしていたのか、についてやっていきます。
それでは一緒にみていきましょう!
MQ:ポリスでギリシア人はどんな生活をしていたのか?
今回の時代はここ!
ポリスの構造
ポリスは暗黒時代だった前8世紀ごろに大土地所有の有力者(貴族)たちによって作られた都市国家でしたね。
ポリスはアクロポリス(城山、しろやま)を中心に、人々が集住(しゅうじゅう、シノイキスモス)して都市が発展しました。
ポリスは通常数千~数万人の人口を抱え、面積は数km²に及びました。
東京ディズニーランドで約4.3km²あるので、その前後のイメージを持ってもらえればと思います。
ポリスは城壁に囲まれた市域と周囲の田園から成り立っていました。
以下に主なポリスの構成を紹介していきます。
●アクロポリス(城山)
市域の中心部。防衛機能のある砦(とりで)であると共に、神殿が建てられる神聖な場所。
代表的なアクロポリスの例:アテネ パルテノン神殿は1987年に世界遺産に登録。
●アゴラ
市場や集会が開かれる広場で、裁判所や評議会、役所などの公共施設が集中している場所。市民が談話や議論を楽しむ場でもあった。
●劇場、競技場、体育場
市民が戦争に備えて鍛錬する場。
●持ち分地(クレーロス)
市民が代々所有している土地。この土地で数人の奴隷と共に農業を営んでいた。農作物が市民の経済基盤。
市民と奴隷
SQ:ポリスの市民は、オリエントと何が違ったのか?
ポリスの住民は以下の大きな2つに分かれていました。
●市民・・・ギリシア自由人。あらに貴族と平民とに分かれる。
●奴隷・・・市民に隷属。
市民
ポリス市民にとって第一の義務とは何だったと思いますか?
答えは「戦士として戦う。」ことです。
ポリスはもともと、武器を自分の費用で購入できる貴族や農民が戦士として集まった場所でしたからね。
暗黒時代期の争乱から身を守るためにできたのがポリスでしたから。
難しい言い方でポリスとは「戦士共同体」なんです。
なので同じ都市国家でも、神の権威を利用した専制支配を敷いていたオリエントとはここが違ったんです。
●貴族
そしてその共同体の中でも貴族はポリスの建設にも携わり、大土地を所有している裕福者でありました。
交易が盛んになると余剰生産物で財を蓄えて富を蓄える貴族も出てきます。
貴族はその裕福さから高価な武具を身にまとう騎馬戦士として軍の指揮官としての役割を果たしていました。
なのでその出で立ちからポリスの官職を独占するようになり、前7世紀までは貴族政ポリスが一般的となりました。
まあポリスを建設した功労者たちですから、そうなるのも無理はありまえせんね。経済力も軍事力も握っていたわけですから。
●平民
平民はというと、政治の実権は貴族が握っていましたが経済的には従属していなくて、田園のクレーロスで農業を営む自営農民がほとんどでした。
武器を自腹で購入できる平民は、戦士として貴族と共にポリスのために戦っていました。
なので、貴族と平民は多少の参政権の差はあったにせよ、市民同士の関係は平等が原則になっていたんです。
奴隷
奴隷となったのは、借財の担保として市民から没落した市民や戦争捕虜、海外から輸入された異民族などでした。
奴隷は人間としての尊厳を奪われ、売り買いされるモノとして扱われていました。
なので市民との身分差も大きったようです。
このように、ギリシア市民にとってはポリスこそが生活の基盤になっていました。
哲学者アリストテレスはポリスをこのように表現しました。
人間はポリス(社会)的動物である。
これは人間はポリスという社会(広い人間関係)を作って生きていく生き物であることを意味しています。
まとめ
MQ:ポリスでギリシア人はどんな生活をしていたのか?
A:市民と奴隷とにわかれ、市民は戦士共同体としてポリスを形成していた。貴族は政治の要職に就き、平民は農業を営んでいたが、市民同士の関係は平等が原則であり、お互い奴隷を使役しながら生活していた。
今回はこのような内容でした。
次回は、ポリスの中でも最大規模を誇った代表的な「アテネ」と「スパルタ」の特徴の違いについてやっていきます。
それではお楽しみに!
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!
「愚者は経験から学び、賢者は歴史に学ぶ。」by ビスマルク
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・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男・橋場 弦(2022)、『詳説世界史探究』、山川出版社
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