世界史を手軽に学びたい方に向けて授業形式でブログ記事を書いています。復習や予習の際に使いやすい内容になっています。「問い」の設定や記事の最後には使用したパワポもダウンロードできます!それではスタンダード世界史探究をどうぞ!※あくまで1例なので、「MQ」や「SQ」、スライド等は自由にアレンジしてください。
はじめに
前回はこのような内容でした。
今ままで東アジア(中国)と南アジア(インド)の文明を見てきましたが、今回からはその間に挟まれた文明圏である東南アジアを見ていきます。
東南アジアの風土は他のアジアや日本と何が異なるのか?
それでは一緒に見ていきましょう!
MQ:東南アジアの風土と日本やアジアとの違いとは?
今回の時代はここ!※この章で扱う時代全体を指しています。
環境と人々
東南アジアとは?
みなさん、まず現在東南アジアと呼ばれる地域は、どこからどこまでかは知っていますか?
ネットで白地図を検索して自分でどこまでかを頭の中で線を引いてみるのもいいですね。
上の地図から、東南アジアの構成を説明すると、、、
・大陸部・・・インドシナ半島が中心
・諸島部・・・マレー半島からインドネシアやフィリピンなどをを含む島々
のような構成であることがわかりますね。
ちなみに現在、東南アジアには11の国があります。みなさんは全部言えますか?
気候
東南アジアは、大陸部の北部を除くほとんどが熱帯気候に属しています。
簡単に言うと東南アジアは“熱い“んです。日本よりも赤道に近いですからね。
熱帯雨林気候・・・一年を通して高温で雨が降る。マレー半島南部、スマトラ島、ボルネオ島、ジャワ島西部など。
サバナ気候・・・雨季と乾季に分かれている。大陸部、ジャワ島中南部、インドネシア東部、フィリピンなど。
地形と農業
●大陸部
東南アジアの大陸部は、複数の長い河川が平原に流れ出てデルタを形成しています。
なので、平原やデルタでは気候を活かした水田耕作が盛んに行われています。
●諸島部
諸島部は、山岳が沿岸付近まで広がっている関係でデルタ等の地形はみられません。
ですが、山間部は降水量が豊かであることを利用できるため農耕が可能で、稲作や焼き畑農業がおこなわれています。
港市国家の形成
SQ:なぜ東南アジアで港市国家が誕生したのか?
東南アジアでは昔から多くの港市国家(こうしこっか)が発展していました。
港市国家とは、海岸や河川に接する港市(港町)を束ねる国家のことを指します。
では、東南アジアではなぜ港市国家が発展したのでしょうか?
豊かな資源
東南アジアでは、熱帯を活かした資源が豊富に存在しているんです。
代表的なものが胡椒(こしょう)などの香辛料ですね。現在ではどのご家庭でもおなじみの調味料ですね。
・胡椒(こしょう)・・・スマトラ島。
・丁字(クローブ)・・・モルッカ諸島のテルナテ、ティドーレなど5つの島。
・肉ズク(ナツメグ)・・・モルッカ諸島の南のバンダ諸島。
こうした香辛料は熱帯でしか栽培できなかったので、紀元前の古くから香辛料をもとめて人々が東南アジアを訪れ、都市が形成されていったんですね。
海上交易の中継地
地図を見てみると、東南アジアは交易においてどんな位置関係かわかりますか?
海を使った交易の場合、中国(東アジア)とインド(南アジア)の間にあります。
そうですね。東アジアでは中国文明が、南アジアではインド文明が繁栄していました。
大きな文明の間に挟まれた地域はどんな影響を受けるか覚えていますか?
中継貿易の恩恵をうけて繁栄するなどの影響をうけます!
このように古代から東アジア(中国)や南アジア(インド)との海上交易が拡大するにともなって、中継地である東南アジアでも港町が発展して都市化が進んでいったんですね。
港市国家の形成
以上のことから、
●香辛料などの原産物に需要があった。
●東アジアと南アジアの海上交易路の中継地の役割を果たした。
そこから香辛料などの資源を内陸から集積し、東アジアと南アジアの海上交易を繋ぐ中継地として積み替え、風待ち、水や食料の補給などの機能を持つ港市が形成され、それらを束ねる港市国家が誕生したという流れになります。
多文化世界
このように東南アジアは、紀元前から東アジアや南アジアと関係を持っていました。
中世以降はイスラームやヨーロッパも進出し、近代以降も中国人(華僑)やインド人(印僑)が多数移住してきました。
このように様々な文化をもった人々が往来して文化を共有してきたことで、現在の東南アジアが形成されています。
まとめ
MQ:東南アジアの風土と日本の違いとは?
A:日本の島国にように独自の文化を形成したのとは対照的に、熱帯原産の香辛料などを活用した中継海上交易を展開し、東アジアと南アジアと活発的に交流した結果、様々な人々や文化が往来して多文化社会が形成された。
今回はこのような内容でした。
次回は南アジアや東アジアの文明に触れていくなかで東南アジアで国家が形成されていきます。具体的な国名がたくさん出てきますが、一緒に頑張っていきましょう!
それでは次回もお楽しみに!
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!
「愚者は経験から学び、賢者は歴史に学ぶ。」by ビスマルク
この記事で使用した授業スライドのダウンロードはこちら↓
・『世界史の窓』、世界史の窓 (y-history.net)
・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男・橋場 弦(2022)、『詳説世界史探究』、山川出版社
・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男(2017) 、『詳説世界史研究』、山川出版社
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