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はじめに

前回はこのような内容でした。


今回は産業革命が起きたイギリスによる、グローバル経済の再構築についてです。イギリス産業革命によって、国際関係はどのように変化したんでしょうか?
それでは一緒にみていきましょう!
MQ:イギリス産業革命は世界の経済をどう変えたのか?
イギリス
「世界の工場」
18世紀後半、イギリスで始まった産業革命は、単なる技術革新にとどまらず、世界の経済構造そのものを根っこから帰る出来事になりました。
蒸気機関の発明や機械化によって、綿織物や鉄などが、それまでにないぐらいのスピードと規模で生産されるようになっていき、イギリスは当時としては世界最大の工業生産国に成長していきました。
それに合わせるように世界経済も変化していき、イギリスは「世界の工場」としての地位を確立していくことになったんです。


では、ここからはイギリスが「世界の工場」と言われるに至った、世界での変化をみていきましょう。
インド
綿花の供給地
イギリスでは世界最大規模の工業製品が生産できるようになりましたが、それには、
・原材料を安定的に供給してくれる地域
・工業製品を売る市場
が必要でした。
なのでイギリスは、これらを手に入れるために、世界各地にお金や政治や軍事力を使って影響を広げて、お金の流れやルールを自分たちに都合のいいように作り直そうとする、「世界経済の再編成」に乗り出すことになります。

そのイギリスの進出によって、最も大きな影響を受けた一つが、かつて綿織物をイギリスに輸出していたインドでした。
イギリスは国内で生産された綿織物の輸出先として、植民地として支配を広げていたインドに注目しました。

まだ開発が進んでいない巨大な市場でしたからね。

ちなみにイギリスは、大西洋三角貿易を利用して、アメリカ大陸からも綿花を輸入していました。
なので、東インド会社を通して、インドでの植民地支配をさらに強化していき、インドを「イギリス綿製品を輸出するための市場」に作り替えようとしたんです。
その結果、かつてイギリスで流行したインド産綿織物の産業は衰退していき、農村ではその代わりに綿花の栽培が推奨されるようになっていきました。
インドで生産された綿花はイギリスの工場で加工され、再びインドや他の地域に綿製品として輸出されることになっていきました。
いわばインドは、「原料の供給地」と「製品の輸出先」という2つの役割を担わされることになったんです。

後にインド人の職人を中心に不満が溜まっていき、反乱が起きる原因になっていきます。

さらに、イギリスは当時、中国(清)から「茶」を大量に輸入していたんですが、貿易赤字になってしまい、イギリス国内の銀が流出する事態が起きていました。

「茶」の輸入は、イギリスで起きた生活革命の影響ですね。
そこでイギリスは、植民地のインドで麻薬の原料であるアヘンを栽培させて、それを中国に密輸出する三角貿易によって、茶の輸入による貿易赤字を取り返そうともしました。

これが、後の清朝とのアヘン戦争に発展することになります。
三角貿易やアヘン戦争については後々やっていきますね。

中南米・中東・中国
市場と供給地としての再編成
イギリスは植民地ではなかった地域に対しても、貿易協定や不平等条約を通じて、経済から他国を思い通りに動かそうと試みました。

イギリスは大西洋の制海権を握っていたので、その交易網や海軍力を背景に、他国を従わせようとしたんです。
中南米諸国は欧米諸国の植民地から独立しますが、その後はイギリス綿製品の最大の市場として利用されることになります。
その代わりに、中南米からヨーロッパに銀や農産物を輸出するという経済に変化していきました。
また、イラン(サファヴィー朝)やオスマン帝国、エジプトなどにもイギリスの製品が大量に流入するようになり、これらも農産物を供給する地域として、世界経済に組み込まれていくことになりました。

先ほどの東アジアの中国(清)も例外ではなく、海禁政策をしていましたが、アヘン戦争を経て開港することになり、巨大な市場として資本主義国(欧米諸国)の影響下に置かれるようになっていきました。

アヘン戦争や欧米諸国による中国分割については後々やっていきましょうね。
SQ:なぜイギリスは、植民地だけでなく独立国にも経済的圧力をかけたのか?
イギリスは産業革命によって大量の工業製品を生産できるようになりました。
しかし、それを維持・発展させるには、次の2つが不可欠でしたよね。
・原材料の安定供給
・製品を売るための市場
インドなどの植民地では、政治的な支配を通じてこれらを確保することができました。
しかし、さらに規模を拡大したイギリスは、独立国(中南米諸国やオスマン帝国、中国など)などの直接支配が難しかった国々に対して、経済的な手段を使って影響力を及ぼそうとしたんです。
例えば、
・不平等条約を結ばせて関税を低く抑え、自国製品を大量に流入させる
・貿易協定を通じて、特定の原材料を安く輸入する
・海軍力などを背景に、経済的な優位を保つ
このようにイギリスは、植民地だけでなく、形式的には独立している国々に対しても「原料供給地」や「製品市場」として経済圏に組み込もうとしていったんです。
産業革命で得た工業力を維持・発展させるために、植民地だけでなく、独立国にも経済的圧力をかけ、「原料供給地」と「製品市場」として自国の経済圏に組み込もうとしたため。

世界各国の選択
産業革命か原料供給か
産業革命によって生まれた資本主義の生産システムは、国境を越えて広がっていきました。
各国はイギリスの影響にどう対応するかを、次の2つのどちらを選択するのかを迫られることになりました。
①産業革命ルート:機械を導入して自国産の製品を生産
②原料供給ルート:イギリスから製品を輸入し、原材料や特産物を輸出

当然、価値の高い機械や製品を自国で生産できる方が良いんですが、それが可能かどうかは、各国の技術や経済の発展度合いに左右されていました。

後発資本主義国の台頭
「①産業革命ルート」を選択できた国々は、イギリスに遅れながらも産業革命を推し進めていきました。
このような国々は、「後発資本主義国」として世界経済の中位に位置づけられるようになっていきました。

以下に後発資本主義国を紹介していきますね。
フランス・ベルギー・・・1830年代に繊維産業を中心に産業革命が始動。
ドイツ・・・関税同盟を通じて国内市場を統一して、保護関税政策で自国産業を育成。19世紀後半には重化学工業が発展。
重化学工業・・・鉄鋼や機械、化学製品など、大量の資源やエネルギーを使って重くて大規模な製品をつくる工業
アメリカ合衆国・・・北部で繊維産業が発展し、南北戦争後の国内市場統一を機に本格的な工業化が進行。
ロシア・・・クリミア戦争の敗北を契機に農奴解放を実施し、産業化への道を模索。
日本・・・幕末の開国をきっかけに、産業革命の必要性が広く認識され、明治維新以降、国家主導で近代化が進行。
これらの国々は、イギリスが19世紀初頭に機械の輸出を解禁したことで、イギリス製の機械を導入して、国内での機械生産や製品の生産を進めていきました。

原料供給地の運命
一方で、アジアやアフリカ、ラテンアメリカの国々は、「②原料供給ルート」しか選ぶことができませんでした。

天然資源が豊富な地域は、工業化が起きる前に欧米諸国に目を付けられて、原料供給地にされてしまったんです。
資本主義国(欧米諸国)への原料供給や製品を売る市場として利用されてしまうことになり、時には植民地にされていくことにもなりました。
ラテンアメリカ・インド・オーストラリア・・・綿花や羊毛などの原材料を供給。
中国・・・巨大な市場として、イギリスやフランスの圧力を受ける。
これらの原料供給地や製品を売るための地域は、世界経済の底辺に組み込まれて、政治的にも欧米諸国に従う立場に置かれることになりました。

資本主義的世界システムの成立
こうして、世界最大の工業国となったイギリスを頂点として、後発資本主義国、原料供給・製品市場の地域で構成される「資本主義的世界システム」が成立することになりました。
イギリス > 後発資本主義国 > 原料供給・製品市場の地域
イギリスは世界各地にイギリス製品を輸出して、イギリスを中心に世界経済が回るようになったことで「世界の工場」と呼ばれるようになりました。
このように、イギリスで起こった産業革命は、技術革新と輸送手段の発達によって、世界を一つの経済圏に組み込んで、再構築していったんです。

現代のグローバル世界でも「資本主義的世界システム」の影響は残っていますyね。先進国が工業製品を輸出して、途上国が原料供給や市場として組み込まれる構造が今も続いているからです。日本の自動車産業などが代表例ですね。

まとめ
MQ:イギリス産業革命は世界の経済をどう変えたのか?
A:世界を工業国・原料供給地・製品市場に分ける「資本主義的世界システム」を生み出し、世界経済の構造を再編成した。

今回はこのような内容でした。

次回は、北アメリカ植民地についてみていきます。ヨーロッパ諸国が北アメリカに建設した植民地の勢力図は、どのように変化していったんでしょうか?
それでは次回もお楽しみに!
「愚者は経験から学び、賢者は歴史に学ぶ。」by ビスマルク
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