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[12-1.3]イギリス産業革命②(社会への影響)

12-1.産業革命

この記事で使用したPowerPointスライドは「note(グシャケン|note)」にてダウンロード可能です。PowerPointスライドやWordプリントのダウンロードは記事の最後に貼ってあるURLから!それではスタンダード世界史探究をどうぞ!

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はじめに

グシャケン
グシャケン

前回はこのような内容でした。

グシャケン
グシャケン

今回は産業革命による社会への影響についてです。なぜ産業革命は社会にどんな影響を与えたんでしょうか?

それでは一緒にみていきましょう!

MQ:なぜ産業革命は社会にどんな影響を与えたのか?

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化石燃料がもたらした「動力革命」

18世紀後半、イギリスから始まった産業革命は、単なる技術革新だけではなく、社会での人々の生活そのものを根っこから変えていくことになりました。

産業革命の中でも特に重要だったのが、蒸気機関の製造業への転用でした。

もともと鉱山の排水用に使われていた蒸気機関が改良を経て、綿工業などの工場に導入されたことで、はじめて化石燃料石炭)を動力源とする生産が本格化していきました。

それまでの人力や水力に頼っていた時代は、体力や気候に左右されがちでしたが、化石燃料による機械化によって昼夜を問わず稼働できるようになったんです。

この変化により、工場の生産力は飛躍的に向上していくことになりました。

蒸気機関の製造業への転用 化石燃料

しかし、そんな便利な機械を使うためには莫大な資金が必要でした。

なので、ひとたび景気が悪くなると、その返済資金を調達できなくて、倒産する企業や工場も珍しくなかったんです。

このような状況だったので、工場の経営者たちはなるべく生産にかかるコストを抑えようとしました。

そこで、コスト削減の的になったのが、“労働者”でした。

グシャケン
グシャケン

人件費を削るのが、一番手っ取り早いですからね。

こうして、経営者はより安価な賃金で働いてくれる労働力を求めるようになっていったんです。

グシャケン
グシャケン

これによって職を失った職人の一部は、暴動などを起こすなどの抵抗をみせましたが、経営者たちによって弾圧されてしまいました。

資本家の投資とコスト
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資本主義の成立

資本家と労働者の分離

そのような事情で、この時代に登場したのが、資本をもつ経営者(資本家)が、賃金で労働者を雇って商品を生産し、利益を最大化させるために他の企業と競争する経営方法でした。

これによって始まったのが資本主義」と呼ばれる経済体制です。

資本・・・お金や道具など、「仕事を始めるために使うもの」

資本主義の成立

それまで、商品を生産する人たちは、師弟関係によって技術を習得した熟練の職人たちに限られていました。

彼らは家族単位で小さな工房を経営しながら、自分たちに合ったペースで商品を生産していました。

しかし、産業革命による機械化と自動化が進んでいくと、機械を操作できれ誰でも工場で働けるようになったので、熟練した技術が必要なくなっていったんです。

こうして、商品の生産は「熟練の技」から「機械で量産」に代わっていき、それまでの職人たちは、資金持つ資本家によって、工場で雇われる賃金労働者に変わっていくことになりました。

このようにして、商品の生産は、家族経営から、お金を出して経営する「資本家」と、賃金をもらって労働する「労働者」という構図にハッキリと別れていくことになりました。

資本主義の成立

労働の時間化

SQ:なぜ産業革命は「労働の時間化」をもたらしたのか?

そして、資本主義の成立によって起こったのが、「労働の時間化」でした。

機械化された工場での労働は、それぞれの機械の動きに合わせて管理しないといけないので、労働者は「時間」を見ながら機械を操作する必要がありました。

グシャケン
グシャケン

みんなが好き勝手動かすと、商品ができるまでの工程がぐちゃぐちゃになっちゃいますもんね。

この「時間の標準化」によって、労働者は出勤や休憩、退勤などのすべてが時間によって管理されるようになり、「時間に遅れること」は労働の質や評価に直結するようになっていきました。

なので、それまで熟練した職人や農民がしていた「自分のペースで働く」という生活スタイルとはまったく違う働き方でした。

産業革命によって、「工場で働く=決まった時間に働く」という生活スタイルに変わっていき、それまでの自由な暮らし方とはまったく違った、大きな変化が起こることになったんです。

グシャケン
グシャケン

自分のペースで働いていた職人や農民が、工場で「時間どおりに」「決まったルールで」働くようになったことで、心の持ち方や生活のリズムまで変えなきゃいけなくなったんです。

このようにして、産業革命期の資本主義よって、労働者が「時間を守りながら働く」という習慣ができ、「労働の時間化」が起きんです。

SQ:なぜ産業革命は「労働の時間化」をもたらしたのか?

産業革命によって機械化された工場では、機械の動きに合わせて作業を進める必要があり、労働者は「時間」を基準に働くようになったため。

なぜ産業革命は「労働の時間化」をもたらしたのか?

●ロンドンの「ビック=ベン」

イギリスの観光名所の一つである時計台「ビッグ=ベンエリザベスタワーは、ただの美しい建築物ではありませんでした。

実はこの時計台は、19世紀の産業革命と深く結びついていて、「時間の正確さ」が社会に影響を与えた存在でもあったんです。

1859年に完成したビッグ=ベンは、当時としては驚異的な精度を誇る時計でした。

グシャケン
グシャケン

デジタルが無い時代に、1日に1秒も狂わないほどの正確さだったんですよ。

なぜそれだけ正確な時間が必要だったんでしょうか?

それは、単なる技術を自慢するためではなく、産業革命によって変化する社会のニーズに応えるためでした。

先ほど説明した「労働の時間化」によって、これまで太陽の動きや教会の鐘に頼っていた時間の感覚は、次第に「分単位」「秒単位」の厳密な管理が必要になっていったんです。

なので、そのために建てられたのが、ビッグ=ベンでした。

ビック=ベンの鐘の音は、ロンドン中の工場や労働者に「今が何時か」を教えてくれるようになり、産業革命を支えた労働者たちを管理する存在になっていきました。

グシャケン
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このビック=ベンの時間は、やがて「グリニッジ標準時」という世界の時間の基準となりました。

しかし、正確な時間管理は、効率的な生産や交通の発展を支えましたが、一方で人々の生活を「時計に縛られたもの」にもしました。

ビッグベンの鐘の音は、「時間に追われる現代社会の始まり」でもあったんです。

ビッグ=ベンと産業革命
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工業都市化と社会問題

工業都市化と交通革命

産業革命による機械の自動化が起きたことで、大量生産を可能にするために、大量の労働力必要になりました。

そうして、大量の労働者を一カ所に集めて生産を行う「工場制度」が成立します。

イギリスのマンチェスターやバーミンガムといった地域では、工場に労働者が集まることで都市が形成されていき、新しい工業都市が誕生していきました。

グシャケン
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マンチェスターは綿工業で、バーミンガムは鉄鉱石や石炭の産地でした。

そして、第2次囲い込み(エンクロージャー)なども重なったことで、農村から仕事を求める人たちが都市に移り住み、イギリス全体で急速に都市化が進んでいくことになりました。

さらに、蒸気船や蒸気機関車などの交通革命が起きたことで、人や物資の大量かつ高速輸送が可能になり、ロンドンや鉱山を結ぶ交通網整備されていきました。

グシャケン
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1750年当時、5万人以上の人口を抱える都市はロンドンなどの2つしかありませんでしたが、1851年には28都市にまで増加していきました。イギリス人の約3分の1が都市で暮らしていたそうですよ。

工場制と交通革命

社会問題

環境汚染

このように、イギリスでは産業革命によって都市への人口集中が急速に進んでいきました。

しかし、この「急激すぎる」都市化は、深刻な社会問題を生むことになりました。

急激な人口集中は、上下水道や道路清掃といった基本的な公共サービスが追いつかなくなり、都市は工場からの煙に包まれ路上には汚物があふれて、労働者の居住区は衛生状態が極めて劣悪なスラム街になっていきました。

グシャケン
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アイルランドなどから来た人々は、スラムでの生活を「文明人が野蛮人へ逆戻りしている」と言ったほどでした。

人口密度も高くなったことで、感染症も蔓延するようになり、空気や水の汚染による病気が都市の住民を苦しめることになりました。

グシャケン
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工場からの産業廃棄物の垂れ流しで、飲み水として使っていたテムズ川は汚染されていき、「死の川(The Dead River)」と呼ばれるようになりました。

産業革命期のテムズ川の風刺画
産業革命 環境問題
労働問題

そして、工場で働く労働者たちは、資本家たちの資本主義によって低賃金・長時間労働を強いられることにもなりました。

特に農村から移り住んできた小作人や女性、子どもたちは、熟練した技術を必要としない工場での機械操作に従事させられました。

炭坑では狭い坑道で、体の小さい女性や子どもが酷使されて、教育を受けるができず、もちろん参政権もなかった彼らは、生きるために低賃金で過酷な労働条件を受け入れるしかありませんでした。

産業革命 労働問題 女性や子どもの労働
グシャケン
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今みたいに労働基準法なんでありませんからね。

当時のリヴァプールやマンチェスターなどの工業都市では、あまりの過酷さに平均寿命が20歳を下回っていたそうですよ。※乳幼児の50%以上が5歳未満で死亡

内容時間(時間)1日での割合(%)
労働(工場・炭鉱など)12〜14時間約50〜58%
睡眠5〜6時間約21〜25%
食事・身支度1〜1.5時間約4〜6%
通勤(徒歩)0.5〜1時間約2〜4%
家事・育児・雑務1〜2時間約4〜8%
余暇(ほぼなし)0〜0.5時間0〜2%
グシャケン
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労働者に休息はほとんどなく、日曜日だけ休みというところが多かったみたいです。

現代で言う、まさに「超ブラック労働」ですね。

こうした状況で、不要になった熟練職人や過酷すぎる労働条件で働く労働者たちは、資本家(経営者)たちに対して反発を起こすようになり、工場の機械を打ち壊す「ラダイト運動と呼ばれる運動が発生しました。

このラダイト運動は多くが弾圧されて終わってしまいましたが、その後、労働者たちは団結して、労働組合を結成することで資本家と交渉して、経営権力に対抗しようとしていきました。

労働組合・・・働く人たちが力を合わせて、よりよい労働条件や権利を資本家に求めるための団体

グシャケン
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また、労働者の労働改善の向上や社会的を目指す社会主義考え方出てくるようになり、現状を変えようとする動きも出てくることになります。

ラダイト運動
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光と影

産業革命は、18世紀後半のイギリスで始まり、蒸気機関の改良と化石燃料(石炭)の利用によって、工場での大量生産が可能になった大きな変化でした。

そして、この「動力革命」によって、工場の生産力は飛躍的に高まり、資本を持つ資本家(経営者)たちは、より多くの商品を効率的に生産して、利益を得ることができるようになりました。

でも、その一方で、労働者たちは、

・機械化によって熟練の技術が不要になり、職人たちは仕事を失った。

・工場で働く労働者は、長時間・低賃金で過酷な労働を強いられた。

・子どもや女性も労働力として使われ、教育や権利を奪われた。

・都市化と人口集中により、スラム化や感染症の蔓延など、生活環境も悪化した。

以上の変化によって、産業革命の進歩は「資本家」にとっては大きな利益をもたらしたんですが、「労働者」にとっては、生活や働き方が厳しくなるという側面があったんです。

産業革命の光と影
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まとめ

MQ:なぜ産業革命は社会にどんな影響を与えたのか?

A:化石燃料による動力革命を契機に大量生産と資本主義経済を成立させ、社会構造と人々の生活様式を根本的に変化させた。生産力の飛躍的向上と都市化の進展により経済は発展したが、その一方で労働者は時間に管理された過酷な労働環境や生活の悪化に直面し、格差や社会問題が深刻化した。

グシャケン
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今回はこのような内容でした。

次回は、世界経済の資本主義化についてみていきます。イギリス産業革命によって「世界のグローバル化」にはどんな変化が起きたんでしょうか?

それでは次回もお楽しみに!

「愚者は経験から学び、賢者は歴史に学ぶ。」by ビスマルク

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