世界史を手軽に学びたい方に向けて授業形式でブログ記事を書いています。復習や予習の際に使いやすい内容になっています。「問い」の設定や記事の最後には使用したパワポもダウンロードできます!それではスタンダード世界史探究をどうぞ!※あくまで1例なので、「MQ」や「SQ」、スライド等は自由にアレンジしてください。
はじめに
前回はこのような内容でした。
今回は春秋・戦国時代によって生活などの文化がどのように変化したのか、について解説していきます。
それではみていきましょう!
MQ:戦国時代にどのような文化が生まれたのか?
今回の時代は前回と同じなので割愛させていただきますね。
鉄器の普及
まず第一に戦国時代で大事なことは「敵に勝つ」ことです。そのためには自分の国を強くする必要がありました。
各国は富国強兵を目指して政治をしていたんですね。それを押さえておけばおのずとこの鉄器の普及もわかってくるはずです。
SQ:鉄の普及は、戦国時代の社会にどのような影響を与えたのか?
春秋時代中期にもなると製鉄技術が発展し、青銅器や磨製石器に代わって鉄が使われるようになります。
中国では原料である鉄鉱石が豊富に採れて、現在でも世界トップレベルの生産量を誇ります。たくさん採れて加工がしやすく丈夫なのでそりゃ使いますよね。
2020年ではオーストラリア、ブラジルに次いで中国は世界3位の生産量となっている。アジアではトップ。
この春秋時代にあらわれた鉄器は、戦国時代にかけて社会を大きく変化させていきました。
いったいどのように変わったんでしょう?
まず特徴として、鉄は青銅よりも丈夫だったということです。
古代では主に鉄は叩いて伸ばす鍛鉄(たんてつ)だったんですが、古代中国ではいち早く溶かした鉄を型に流し込む鋳造(ちゅうぞう)の技術がありました。鋳造の方が整形がしやすかったんです。
なので刃先が鋭くなれば切れ味が増します。鉄は青銅よりも硬くて丈夫なので木を伐採しやすくなり、土を深く耕せるようになり、敵に重傷を負わられるようになったんです。
まず鉄器によって森林伐採のペースが効率的になり、農地が大きく増えました。
同時に伐採された木材は建築材や工業の原料、燃料として各地に供給されるようになりました。
農地では鉄製の農具が使われ、犂(すき)を牛にひかせる牛耕(ぎゅうこう)も始まり、生産量も格段にあがりました。
食糧の増産は人口増加や遠征の兵糧供給にも貢献したことでしょう。
そして戦地では武器として使われ、青銅よりも耐久度が高く殺傷力が一段と増しました。
また、春秋・戦国時代以前の文字の記録は甲骨か青銅に刻んでいましたが、豊富な資材を利用した記録用の木簡(もっかん)や竹簡(ちくかん)が登場し、命令や情報伝達がより正確に伝わるようにもなったんです。
紙はまだなかったんですね。ちなみに短冊状だったので、それをつなげた形から「冊」という漢字ができたり、巻いて保管していたので書物の数える単位に「巻(かん)」という字が使われれたりしたんですよ。
このように国を強くする富国強兵策のもと、鉄器によって生活や社会が豊かになりましたが、その一方で伐採が進んだことによって森林面積が少なくなって、華北地方の気候は乾燥化へと向かっていったんです。
この時代から環境破壊が始まっていたんですね。
青銅貨幣の普及
周時代では氏族集団(男系の一族)を単位として課税や徴兵が行われていましたが、春秋・戦国時代になると氏族集団は次第に解体されて一夫婦を中心とする小家族を「戸(こ)」という単位で課税や徴兵をするようになります。
だって周は宗法にしたがって家柄を重視していましたが、戦国時代は実力主義の時代ですからね。一族の血縁関係をあまり気にせず、戸籍の管理がしやすいようにしたのでしょう。
SQ:なぜ青銅貨幣が普及したのか?
これは先ほどの鉄器の普及でも触れた、農業生産の増加や豊富な木材を利用した手工業の発展が理由です。
それまでは主に南でとれるタカラガイなどを貨幣として利用していました。収穫量が少なく貴重だったので貨幣の代わりとして使われいたのでしょう。
しかし、モノの量(取引量)が増えると貨幣であるタカラガイが不足して売買がしずらくなってしまいます。それをおぎなう形で使われたのが、当時鋳造(ちゅうぞう)技術が発展したことで大量生産が可能になった青銅貨幣だったんです。
この青銅貨幣の普及によって商売の取引が活発になり、国家に影響をあたえるような大商人も現れます。まあお金があればそれだけ人を動かせますからね。経済に貢献しているので国も無視できなくなるんです。まさに実力主義、、、
漫画『キングダム』でも登場する呂不韋(りょふい)はその典型でしょう。一商人から秦国の大臣にまで昇りつめています。
戦国時代は「戦国の七雄」である7大国が青銅貨幣をそれぞれ独自に鋳造したので、地域によって形や重さが違いました。
刀銭(とうせん)・・・刃物の形。主に燕や斉などの東北地方・黄河下流域で普及。
布銭(ふせん)・・・農具の形。主に韓、魏、趙などの黄河中流域で普及。
円銭(えんせん)・・・円形に丸か四角の穴が空いている形。 主に秦などの渭水・黄河中流域で普及。
鼻蟻銭(きびせん)・・・青銅貨幣流通前のタカラガイの形。主に楚などの江南地方・長江流域で普及。
これらは最終的に円銭に統一されることになります。
まとめ
MQ:戦国時代にどのような文化が生まれたのか?
A:富国強兵のもと、鉄器の普及によって開墾や牛耕の使用などによって農業生産が増加した。同時に木材の供給による手工業なども発展した。そしてそれらによって商取引が活発になったことで大量生産が可能な青銅貨幣が流通し、貨幣経済へと移行していった。
今回はこのような内容でした。
春秋・戦国時代は各国が生き残るために富国強兵策に没頭し、技術力や経済力が大きく進歩した時代でもありました。
近現代でも戦争時に技術(科学)が発展し、その後の生活に影響をあたえることがしばしばありました。
次回は、各国がその富国強兵に没頭するなか、「国や人はどうあるべきか?」についてさまざまな考えを主張する諸子百家(しょしひゃっか)の人々が登場します。ぜひお楽しみに!
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!
「愚者は経験から学び、賢者は歴史に学ぶ。」by ビスマルク
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・『世界史の窓』、世界史の窓 (y-history.net)
・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男・橋場 弦(2022)、『詳説世界史探究』、山川出版社
・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男(2017) 、『詳説世界史研究』、山川出版社
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