概要
『労働と日々』は、古代ギリシアの詩人ヘシオドスが紀元前700年頃に書いた叙事詩で、ヘシオドスの主要な二つの作品の一つです。
この詩は、労働こそ人間のすべてであり、働くものだけが得ることができるということを説いています。
歴史的背景
ヘシオドスは紀元前700年頃の古代ギリシアで活動していました。
この時期は、ギリシア文化の段階では前8~6世紀にあたり、初期ポリスの時代であり、植民市活動が展開された時代でした。
文化的背景
『労働と日々』は、農耕や季節の変化に関する具体的な方法を詩形で提供し、古代ギリシアの日常生活と労働に関する貴重な洞察が書かれています。
また、神々や英雄の伝説も組み込まれており、その背後には、公正な労働とその報酬を尊重する、古代ギリシアの価値観が描かれています。
主な登場人物
『労働と日々』には、神々や英雄の伝説が組み込まれています。
また、詩の中では、ヘシオドスが自身の弟ペルセスに語りかける形で、労働の価値や生活の心得を教えています。
著書の内容
『労働と日々』は、ヘシオドスが自身の弟ペルセスに語りかけ、労働の価値や生活の心得を教える形で進行していきます。
詩の中で、ヘシオドスは働き者で正直な生活を讃え、怠惰な生活を非難しています。
また、この詩は季節の変化や農耕の知識を伝えることで、古代ギリシアの農村生活を理解することもできます。
ヘシオドスは、自身の弟ペルセスに語りかけ、労働の尊さと楽しさを説き、種まきや刈り取りの時期などを教えます。
この詩は、新天地を求めての植民市活動に奮い立つばかりの、本土ギリシアの農業危機という背景に対するものだと考えられています。
ヘシオドスは、女神エリスとパンドラの神話を語ります。
プロメテウスが火を盗み出して人間に与え、怒ったゼウスがパンドラを作り出し、パンドーラが箱を開けた結果、あらゆる不幸が広がったというエピソードを語ります。
ヘシオドスは、人類の5つの時代(黄金時代、銀の時代、青銅時代、英雄時代、鉄の時代)を語ります。それぞれの世代の特徴を述べています。
・黄金時代
この時代の人々は神々のように生き、煩わしさを知らず、苦労も心身の痛みも知らず、あわれな老いの悲しみにもさいなまれることはありませんでした。
・銀の時代
黄金の時代と比べると堕落しています。
人間の姿も心ばえも劣り、人は百年間も巨大な赤児の姿で母親の世話をうけています。
しかも成年に達するやいなや、すぐに死んでしまいます。
・青銅時代
第三の世代、青銅の人間は、とねりこの木から生まれた恐ろしい、荒々しい者たちでした。
彼らは戦神アレースに心を向け、穀物を食することもなく、青銅の物の具を身につけ、青銅の家に住み、青銅の道具を使いました。
・英雄時代
それまでの人間より正しい道をわきまえ、よりすぐれた力を持つ英雄たちは、神のような種族であって半神たちとも呼ばれ、今の人間たちがこの大地に住む以前に栄えました。
・鉄の時代
「これからの人間はもう鉄の時代だ。陽のあるかぎり、苦労をまぬがれず、夜の一刻も悲嘆をわすれえず、衰滅の道を歩むにちがいない。神々のもとからは手に負えぬ心痛がやってくる。」
とヘシオドスは語っています。
ヘシオドスは、正義と平和のあり方を説き、農事暦に基づいた農耕の手順、航海の技法などを詳細に述べています。
ヘシオドスは、貴族政のもとでの貴族の不正な裁判や賄賂などを批判します。
その言葉の中には、貴族政のもとで貴族の不正な裁判や賄賂などを批判するものが見られ、次第に農民(平民)が貴族に代わってポリスの民主政を実現していく過程を反映しているとも考えられます。
まとめ
『労働と日々』は、古代ギリシアの日常生活と労働についての貴重な洞察を提供する叙事詩です。
ヘシオドスの詩は、労働の価値を讃え、怠惰な生活を非難するという、古代ギリシアの価値観を反映しています。
また、この詩は、古代ギリシアの農村生活を理解できるだけでなく、神々や英雄の伝説を通じて、古代ギリシアの文化的背景を理解するのにも役立ちます。
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