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『コモン=センス』

史料集
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概要

『コモン=センス(Common Sense)』は、1776年にアメリカで出版された政治パンフレットで、著者はイギリス出身の思想家ペインです。

この小冊子は、当時イギリスの植民地だったアメリカにおいて、「独立すべきか否か」という議論に火をつけ、一般市民の間に独立の意識を広める大きな役割を果たしました。

わずか46ページほどの短い文書ながら、出版から数ヶ月で50万部以上が売れたとされ、当時の人口を考えると驚異的なベストセラーでした。

歴史的背景

18世紀半ば、アメリカ大陸の13のイギリス植民地では、イギリス本国からの課税や統治に対する不満が高まっていました。

特に「印紙法」や「茶法」などの課税政策は、「代表なくして課税なし」というスローガンのもと、植民地人の怒りを買いました。

1775年にはレキシントン・コンコードの戦いを皮切りに、アメリカ独立戦争が始まります。

しかし、当初は「独立」ではなく、「本国との関係改善」を望む声も多く、民衆の意見は割れていました。

そんな中で登場したのが『コモン=センス』でした。

文化的背景

当時のアメリカ社会は、識字率が比較的高く、新聞やパンフレットが広く読まれていました。

印刷技術の発展により、政治的な意見や思想が一般市民にも届きやすくなっていたのです。

また、啓蒙思想の影響も大きく、理性や自由、平等といった価値観が広まりつつありました。

ペインの文章は、難解な哲学用語を避け、誰にでも理解できる平易な言葉で書かれていたため、多くの人々の心をつかみました。

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主な登場人物

ペイン・・・『コモン=センス』の著者。イギリス生まれで、1774年にアメリカへ渡る。独立戦争を支持し、後にフランス革命にも関与。平等と民主主義を強く信じた思想家。

ジョージ・ワシントン・・・独立戦争の総司令官で、後の初代アメリカ大統領。『コモン=センス』に感銘を受け、兵士たちにも読むよう勧めたとされる。

ベンジャミン=ラッシュ・・・ペインに出版を勧めた医師であり、独立運動の支持者。『コモン=センス』の影響力を高めるのに貢献した人物。

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著書の内容

1. 政府と社会の違い

ペインはまず、社会と政府を明確に区別します。

・社会は人々の自然な結びつきによって生まれるもので、互いに助け合い、幸福を追求するためのもの。

・政府は人間の悪を抑えるために必要な「悪の必要悪」であり、最小限であるべきだと主張します。

この考え方は、当時の王政中心の政治体制に対する根本的な疑問を投げかけるものでした。

2.王政批判と共和制の提案

ペインはイギリスの王政を厳しく批判します。

・王は神から選ばれた存在ではなく、むしろ人間の作った制度にすぎない。

・王政は不平等と腐敗を生み出す原因であり、自由を脅かす存在である。

そのうえで、ペインは共和政(国民が主権を持つ政治体制)を提案します。

王や貴族に頼らず、民衆が自らの代表を選び、政治を行うべきだという考え方です。

3.アメリカ独立の正当性

ペインは、アメリカがイギリスから独立することは「常識(コモン=センス)」であると主張します。

・地理的に遠く離れたイギリスがアメリカを支配するのは不自然。

・イギリスとの関係は戦争と搾取をもたらしている。

・アメリカはすでに経済的にも文化的にも独立しており、自立すべき時が来ている。

この主張は、多くの人々に「独立は過激な考えではなく、当然の選択だ」と思わせる力を持っていました。

4.独立後の展望

ペインは、独立後のアメリカがどのような国になるべきかについても語ります。

・各州が協力し合い、連邦的な仕組みを作るべき。

・貿易や外交の自由を得ることで、経済的にも発展できる。

・新しい国は、自由と平等を基盤とした「新しい世界のモデル」となる可能性がある。

このように、単なる批判にとどまらず、未来への希望を描いた点も『コモン=センス』の魅力です。

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まとめ

『コモン=センス』は、アメリカ独立の思想的な原動力となった一冊です。

ペインは、難しい理論ではなく、誰にでも伝わる言葉で「なぜ独立が必要なのか」を語りかけました。

その影響力は絶大で、独立宣言(1776年7月)へとつながる世論の形成に大きく貢献しました。

歴史を学ぶうえで、『コモン=センス』は単なる過去の文書ではなく、「言葉が社会を動かす力」を教えてくれる貴重な教材です。

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