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『ロビンソン=クルーソー』

史料集
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概要

『ロビンソン=クルーソー』は、1719年にイギリスの作家デフォーによって発表された小説です。

無人島に漂着した一人の男が、知恵と努力によって生き延びていく物語として知られています。

この作品は、近代小説の出発点とも言われ、冒険物語でありながら、当時の社会や価値観を色濃く反映した作品です。

単なるサバイバル物語ではなく、「近代人とは何か」を考える重要な文学作品として、現在も世界中で読まれています。

歴史的背景

『ロビンソン=クルーソー』が書かれた18世紀初頭のイギリスは、大航海時代の終盤にあたります。

この時代の特徴は以下の通りです。

・海外貿易の拡大

・植民地の獲得競争

・商業資本主義の発展

イギリスは海洋国家として成長し、多くの人々が「海外で成功する」ことを夢見ていました。

ロビンソンの冒険も、こうした海外進出への憧れを背景にしています。

文化的背景

この作品が生まれた背景には、プロテスタント的価値観があります。

特に重要なのは次の考え方です。

・労働は神に与えられた使命

・勤勉さと節制は美徳

・成功は努力の結果

ロビンソンは無人島で怠けることなく働き続けます。

これは、当時のイギリス社会が理想とした「模範的な個人像」を体現しています。

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主な登場人物

ロビンソン=クルーソー・・・本作の主人公。冒険心が強く、困難な状況でも冷静に考え、行動する人物です。

フライデー・・・ロビンソンが島で出会う先住民。ロビンソンに助けられ、忠実な協力者となります。

この二人の関係は、当時のヨーロッパ中心主義や植民地主義的な考え方を理解する手がかりになります。

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著書の内容

1.家庭からの離脱と冒険への衝動

ロビンソン=クルーソーは、裕福で安定した家庭に生まれます。

父親は「中流階級として堅実に生きること」を勧めますが、ロビンソンはそれに従わず、海への冒険を選びます。

この選択は、物語全体を通じて重要な意味を持ちます。

・親の忠告を無視する

・理性より欲望を優先する

・自己決定を重視する

ここには、近代的個人の誕生が描かれています。

2.航海の失敗と無人島への漂着

ロビンソンの航海は順調とは言えず、嵐や事故に何度も遭遇します。

最終的に船は難破し、彼一人だけが無人島に流れ着きます。

この場面は、次の対比を強調しています。

・文明社会と自然

・集団と孤独

・依存と自立

無人島は、ロビンソンが「一人の人間として試される舞台」となります。

3.生存のための試行錯誤

島での生活初期、ロビンソンは恐怖と絶望に支配されます。


しかし次第に、理性的に状況を整理し始めます。

・船から物資を回収

・住居の確保

・食料の計画的管理

ここで重要なのは、感情より計算を優先する姿勢です。

これは当時の合理主義的思考を反映しています。

4. 労働による文明の再建

ロビンソンは島で「文明」を一から作り直します。

・農業(麦の栽培)

・家畜の飼育

・道具や家具の製作

これらの描写は非常に細かく、労働の積み重ねが生活を安定させることが強調されます。

5. 孤独と信仰の深化

長い孤独の中で、ロビンソンは精神的な危機を迎えます。

病気や不安をきっかけに、彼は神への信仰を深めていきます。

・聖書を読む

・過去の行動を反省

・神の意志として運命を受け入れる

この部分は、プロテスタント的内省を理解する重要な場面です。

6. 島の「支配者」としての自己認識

ロビンソンは次第に、自分を島の「王」や「支配者」として意識するようになります。

・島を自分の領土と考える

・自然や動物を管理対象と見る

これは、当時の植民地主義的思考を象徴しています。

7. フライデーとの出会いと主従関係

ロビンソンは、食人の危機にさらされていた先住民フライデーを救います。

フライデーはロビンソンに忠誠を誓い、彼の言葉や宗教を学びます。

この関係には、以下の特徴があります。

・教える側と教えられる側

・支配と従属

・ヨーロッパ中心の価値観

8. 社会の再構築と協力関係

フライデーの登場により、島は「社会」を持ち始めます。

・労働の分担

・防衛体制の構築

・言語と宗教の共有

ここでは、人間が社会的存在であることが示されます。

9. 救出と文明社会への復帰

最終的にロビンソンは島を脱出し、文明社会へ戻ります。

彼は経済的にも成功し、冒険は「成功体験」として語られます。

しかし同時に、

・冒険の代償

・支配の正当性

・文明の価値

といった問いも残されました。

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まとめ

『ロビンソン=クルーソー』は、主人公が孤島で生き延びる過程を描いた冒険小説として広く読まれてきました。

同時に、クルーソーが理性や勤勉さを武器に環境を整え、労働によって世界を再構築していく姿は、近代社会が理想とした自立した個人像を体現しており、作品は近代的個人の物語としての側面も強く持っています。

さらに、彼が島を「所有」し、先住者であるフライデーを従属させる構図には、当時のヨーロッパが世界に広げていった植民地主義的価値観が反映されています。

このように、本作は冒険譚としての魅力に加え、近代思想や帝国主義の歴史を読み解く上でも重要な意味を持つ、多面的な作品となっています。

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