世界史を手軽に学びたい方に向けて授業形式でブログ記事を書いています。復習や予習の際に使いやすい内容になっています。「問い」の設定や記事の最後には使用したパワポもダウンロードできます!それではスタンダード世界史探究をどうぞ!※あくまで1例なので、「MQ」や「SQ」、スライド等は自由にアレンジしてください。
はじめに
今回は、村々からどのように「文明」が誕生したのか、その条件などについて授業をおこなっていきます。
MQ:文明の誕生にはどんな条件が必要なのか?
灌漑農業による発展
前回、農耕・牧畜が始まり、農耕定住化がおこった話をしました。
しかし、はじめた頃の農耕には、いろいろな問題を抱えていました。
当時の農法は、
「乾地(かんち)農法」・・・雨水にたよる農法
「略奪(りゃくだつ)農法」・・・肥料を使わず、土地の栄養にたよる農法
ではこれらの方法ではどんな問題がおこりそうですか?
ズバリ雨水に頼るので収穫量が少なく、土地の栄養に頼るので耕地の移動が必要だったのです!
しかし、メソポタミア地方(現在の中東)では、乾燥で年間のほとんどを雨水に期待できないので乾地農法には適していませんでした。
略奪農法では次第に増える人口に対して、収穫量は年々減少するので人口増加に対応できませんでした。
※「メソポタミア」・・・ギリシア語で「川と川の間」、ティグリス川・ユーフラテス川
人口が増えてくると養うのに限界をむかえます。ではどのようにこの問題を乗り越えたのでしょうか?
それは、
自分たちの力で川から水を引っ張ってくるか!
これによってメソポタミアのティグリス川・ユーフラテス川の水を人口的に引いてくる灌漑(かんがい)農業がはじまりました。
人類はさらに食糧を生産できるようになり、人口が飛躍的(ひやくてき)に増加していきます。
文明の出現
灌漑農業で人口を大きく伸ばし、集落は大規模集落へと発展してきます。
しかし、ここでも問題が発生します。
SQ:灌漑農業で起こりうる問題とは何か?
それではみなさん、想像してみてください。
みなさんの近所の川は、両脇をコンクリートでガチガチに固められ、綺麗に整備されていますよね。
これは侵食防止や災害時の氾濫防止のためです。
ですが、古代にはそのような技術は当然ありません。
せっかく整備しても日々水に侵食されて流れが変わり、ひとたび大雨で洪水が起これば木っ端微塵です。
しかも工事機械もないので、復旧やメンテナンスには多くの人と時間が必要になります。
要するに・・・
しかも災害が起これば、食糧難になり苦しむ人が多くなります。
しかも全員が灌漑事業をできるだけの余力があるわけではないんです。
そこで災害時に食糧を配布したり、灌漑事業を肩代わりする人たちが現れます。
このように余剰生産物が豊富な人たちがリーダーとなって、富の配分や灌漑事業を推進しました。
これらのリーダーたちは、富を分け与えたり灌漑を肩代わりする代わりに、収穫の一部を納めさせることで、さらに余剰生産物を増やしていきました。
人々も自分たちに変わって生活を改善してくれる存在を支持するようになります。
そりゃいざという時に助けてくれるんです。頼りたくなりますよね。笑
このようにして、多くの人たちを動かしてモノづくりをさせる権力システムができあがっていきます。
このシステムこそが「国家」です!!
国家では、全員が農耕・牧畜をするのではなく、余った農作物(富)を背景に「工事を計画・実行する人」や「管理する人」、「富を警護する人」など、いろいろな職業に分かれて社会組織を作りあげていきます。
これによって、前3000年(約5000年前)ごろまでに、世界各地の大河流域に文明が誕生するわけなんです!
●ナイル川(エジプト)
●ティグリス川・ユーフラテス川(イラク)
●インダス川(パキスタン)
●黄河・長江(中国)
文明・・・人類の知恵が進んで、物質的に豊かになった状態
こうした文明では、モノのやりとりの中心である都市が生まれ、支配する人と支配される人とで階級の差も生まれていきます。
SQ:世界のおもな古代文明に見られる共通点とは何か?
上の地図「おもな古代文明とその遺跡」を見ると、ある共通点があります。何かわかりますか?
それはずばり「緯度」です。
なんですね。
ですが、ここである疑問が起こります。
歴史時代のはじまり
初期の国家における権力は、リーダー(首長)の宗教的権威によって維持されます。
まあ、簡単にいうと、リーダー(首長)は「神(または神の代理人)」として崇められて、人々を動かします。
ではなぜ「神」のような存在になれたのか?
それは、天気予報ができたからなんです!
は? て感じですよね(笑)
今でこそ天気予報は当たり前のようにおこなわれていますが、昔はそのような高度な技術は一部の高い身分の人に限られていました。
主に天気予報のために古代では星の動きを見る星占術が発展しました。
星の動きは一定ですからね。
天気予報は生きていく上で欠かせないものです。
雨季の時期やタネ植え、収穫の時期を正確に予期できる存在は、人びとには「超能力を持つ、人智を超えた存在」として写ったんでしょうね。
もうすぐ雨が降る季節がくるぞ!タネ植えの準備をせよ!
なんで雨が降るのがわかるの!?理解できない!すごすぎる!
このようにして、技術を持っている人びとがリーダー(首長)として神格化されていったのです。
その権威を示す場所としてつくられたのが神殿です。
神殿は宗教政治の場所であったのと同時に、各地から納められたモノを管理する倉庫の役割もありました。
そして、大量のモノを管理・記録するうえで必要なものありますよね?
みなさんは記録するとき何を使ってますか?
そう!文字の使用です!
当たり前すぎて逆に当てられないですね。(笑)
人間の記憶力では限界があるので、文字を使用することで支配階級は、大量の情報を管理し、国を統率してたんですね。
文字が発明されたことで記録を残すことができ、ここから人類史は「先史時代」から「歴史時代」へと移っていきます。
また、青銅器、ついで鉄器といった金属器も発明されます。
SQ:金属器の登場は社会にどのような影響をあたえたのか?
それは、
①農業生産が飛躍的UP!
②武器の性能UP!
← これが次回に登場する古代文明の成立に大きな役割を果たしました!
まとめ
Q:文明の誕生にはどんな条件が必要なのか?
A:文明とは人口が大幅に伸び、職業分化が進むことで都市の神殿を中心に国家というものが出現した状態である。これらには人口を支える食糧が必要であるため、大河流域での灌漑農業による食糧生産が必要条件であると考えられる。
今回は、灌漑農業の発明によって人類は人口を飛躍的に増加させて、国家を形成し文明を出現させました。
その中で、文字が発明されます。文字は神殿に集められた農作物を記録する必要から生み出されました。
人類は、政治や商業などの過去の記録をみて将来の行動に準備できるようになったんですね。
次回は、実際に存在した古代文明をみていきます。やっと世界史らしくなってくるのでお楽しみに!
最後までみていただきありがとうございました!
「愚者(ぐしゃ)は経験から学び、賢者(けんじゃ)は歴史に学ぶ。」byビスマルク
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・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男・橋場 弦(2022)、『詳説世界史探究』、山川出版社
・木村 靖二 ・岸本 美緒 ・小松 久男(2017) 、『詳説世界史研究』、山川出版社
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